新築一戸建てを注文住宅として建てる場合、全部でいくらかかるのか相場を知りたい方も多いでしょう。
注文住宅にかかる費用は、建物の構造や広さ、設備のグレードなどで大きく変動します。一般的な注文住宅の相場を理解することで、自身の予算でどのような建物が建てられるのかをイメージしやすくなるでしょう。
本記事では、注文住宅の費用の相場を解説します。注文住宅の相場を構成する3つの費用、坪数別の相場や費用を抑えるポイントも紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
注文住宅の相場
注文住宅の費用は、以下の3つに分類できます。
- 建築費用
- 土地の取得費用
- 諸費用
それぞれの相場を詳しく解説します。
建築費用(上物)の相場
上物(うわもの)とは、土地の上にある建物を意味します。住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査(2022年度)」によると、注文住宅の建築費用(上物)の平均および中央値は以下の通りです。
エリア | 平均 | 中央値 |
全国 | 3,715万円 | 3,445万円 |
首都圏 | 4,015万円 | 3,715万円 |
三大都市圏 | 3,956万円 | 3,649万円 |
三大都市圏以外 | 3,502万円 | 3,303万円 |
全国平均は3,715万円で、首都圏は平均・中央値ともに全国よりも約300万円高い結果でした。
注文住宅の工事を依頼する会社によっても、建築費用は異なります。街の工務店や規模の小さいハウスメーカーでは費用は安く、大手ハウスメーカーのほうが高額になるのが一般的です。1,000万円台、2000万円台、3,000万円で建てる注文住宅の特徴について、後述しますので参考にしてみてください。
ハウスメーカーの人気によっても金額は左右されるため、複数の会社に相談し比較検討するようにしましょう。
また、建物代金は、工事契約金や着工金、残代金など工事期間中に複数回に分けて支払うケースが大半です。
土地の取得費用の相場
土地の取得費用は、土地代金の他に仲介手数料や印紙税、不動産取得税などがかかります。前述の「フラット35利用者調査(2022年度)」によると、土地取得費用の全国平均は2,225万円で、三大都市圏の平均は3,245万円でした。
既に所有している土地に注文住宅を建てる場合は、土地を取得する費用は掛かりませんが、地盤調査や必要に応じた地盤改良、盛り土、家を建てられるように整備・造成の費用が別途発生する可能性を考慮する必要があります。
諸費用の相場
諸費用としては、次に挙げるものなどがかかります。
土地の購入時 | 建物の購入時 | ローン借り入れ時 |
・登記事項証明書の取得費用 ・司法書士への報酬 ・印税紙 ・不動産取得税 ・登録免許税 ・仲介手数料 | ・土地の登記に必要な登録免許税・建物の登記に必要な登録免許税 ・登記事項証明書の取得費用 ・司法書士への報酬 ・印税紙 ・不動産取得税 ・登録免許税 ・建築設計費 ・建築確認申請費用 ・付帯工事費用(地盤調査や仮設トイレ、 外構など建物本体の工事以外で必要になる工事費用) | ・司法書士への報酬 ・印税紙 ・登録免許税 ・ローンの手数料や利息 ・ローン保証料 ・団体信用生命保険料 ・火災保険料 ・地震保険料 |
注文住宅にかかる諸費用は、建築費総額の約10%が目安です。それ以上かかる場合もあるため、余裕を持った資金計画を立てておくのが重要です。
また、住宅ローン利用時は、印紙税やローン保証料、団体信用生命保険料なども発生します。
坪数別の注文住宅相場
本章では、30坪・35坪・40坪の坪数別にかかる注文住宅の費用相場を解説します。なお「1坪」は約3.3平方メートルです。それを踏まえてそれぞれ詳しく見ていきましょう。
30坪の費用の目安
前述の「フラット35利用者調査(2022年度)」によると、1平方メートルあたりの建築費は平均で約30万円でした。
30坪は約100平方メートルであるため、建築費は「30万円 × 100平方メートル」で3,000万円が目安になります。ただし、建築費は建物の本体価格であり、土地の取得費用は別途かかるため注意が必要です。
また、建築費3,000万円はあくまで平均であるため、ローコストのハウスメーカーで建てると費用を抑えられる可能性があります。
なお、国土交通省の「住生活基本計画における水準について」によると、豊かな生活や多様なライフスタイルを実現するのに費用な居住面積(誘導居住面積水準)は、都市部以外や郊外の場合は3人家族で約30坪が適当とされています。
そのため、3〜4人のファミリー向けの注文住宅を検討している方は、30坪を目安に居住面積を考えましょう。
35坪の費用の目安
35坪の広さは約115平方メートルです。建築費の目安は、前述の「フラット35利用者調査(2022年度)」を参考にすると、「30万円 × 115平方メートル」で約3,500万円となります。
35坪は60〜70畳になり、4人暮らしにおすすめの広さです。3LDKや4LDKの間取りが一般的で、大人2人と3〜5歳の子ども2人の4人家族も快適に過ごせるでしょう。
40坪の費用の目安
40坪は約132平方メートルの広さがあります。前述の「フラット35利用者調査(2022年度)」を参考にすると、建築費の目安は「30万円 × 132平方メートル」で約4,000万円です。
40坪は4人家族でも余裕を持って暮らせる広さで、趣味のためのスペースを作ることもできます。二世帯住宅も建てられるでしょう。広さに余裕があるとゆったり暮らせる間取りにしやすく、こだわりやオリジナリティあふれる空間にしやすいです。
相場別の注文住宅の特徴
坪数別の注文住宅の相場がわかったところで、本章では、1,000万円・2,000万円・3,000万円と建築費用の相場別に注文住宅の特徴を解説します。
建築費用1,000万円台の注文住宅
建築費用1,000万円台の注文住宅は、相場よりも大幅に費用を抑えられています。無駄な部分を極限まで省き、シンプルな一戸建てを建てるイメージです。
延べ床面積を減らし建物の本体価格を抑えられれば、建築費を削減できるでしょう。しかし、少ない予算でも性能を落とさず、広い住宅を建てることは可能です。
建築費用を1,000万円台に抑えるには、次のような工夫をする必要があります。
- 建物を特殊な形状にせずシンプルな構造にする
- 外壁の面積を少なくする
- 住宅設備を必要最低限のグレードにする
他にも、ローコストのハウスメーカーを利用するのもひとつの方法です。
建築費用2,000万円台の注文住宅
建築費用として2,000万円台の予算があれば、希望にあわせて住宅のグレードも少しずつ上げられるでしょう。
1,000万円台の予算では妥協せざるを得ない部分も、2000万円台では実現できる可能性があります。たとえば、外壁をタイル仕上げにする、キッチンやバスルームに最新設備を導入するなどです。
ハウスメーカーの選択肢が増えるのもメリットのひとつです。
ただし、建築費用2,000万円台とはいえ平均よりも低い予算であるため、全ての理想を叶えようとすると、すぐに予算オーバーしてしまいます。希望条件の優先順位を付けるのが重要な予算帯だといえます。
建築費用3,000万円台の注文住宅
建築費用の予算が3,000万円台を超えると、全国平均にも近くなり、実現したい内容を叶えやすくなります。
3,000万円台前半は、3~4人で暮らすのに十分な家の広さとグレードを保てる価格帯です。3,000万円台後半になると、さらに余裕をもって暮らすことができる広さと、設備や建築資材のグレードアップを図れます。
建築費用が平均よりも高い首都圏内においても、正方形や長方形などシンプルな建物の形状ではなく、敷地を有効に活用した一戸建てを建てられる可能性があります。
また、質の高い注文住宅を大手ハウスメーカーに建ててもらう選択肢も入ってくるでしょう。
注文住宅の費用を抑える際のポイント
注文住宅の費用を抑えるには、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 建物や間取りの内容を見直す
- 設備に工夫を凝らす
- 予算をカットしない部分を見極める
それぞれ詳しく解説します。
建物や間取りの内容を見直す
建物や間取りを以下のように見直すことで、注文住宅の費用を抑えられます。
- 延べ床面積を減らす
- 建物や屋根の形状をシンプルにする
- 部屋数を減らす
延べ床面積を減らすことで、材料費や施工費を削減できます。また、外壁の凹凸・構造材・屋根材が少ない総2階の家にするのもおすすめです。
屋根は切妻や片流れなど、シンプルで施工費が安いデザインを取り入れましょう。
間取りもコストダウンを図りやすいポイントです。たとえば、新築段階では子ども部屋を1つにし、2人目が成長したら間仕切りを入れるなどすれば、部屋数を減らせます。
廊下や玄関ホールなど部屋以外のスペースを極力減らす、和室を作らず洋室のみにするといった工夫も効果的です。
設備に工夫を凝らす
住宅設備にかかる費用は、以下のような工夫を凝らすことで抑えられます。
- 窓やドアの数を少なくする
- 住宅設備を標準グレードに下げる
- エアコンや照明を施主支給にする
窓やドアの数が多くなると費用も高くなるため、優先度が低い場所は減らしましょう。ただし、窓を減らしすぎると部屋が暗くなりやすいため、サイズを小さくする、FIX窓を取り入れるなどを検討しましょう。
他にも、住宅設備のグレードを標準に下げ、照明やエアコンなどの設備を自分たちで手配する「施主支給」にすれば、費用を削減できます。
値段の安い設備を厳選するのも重要ですが、こだわるところとコストを抑えるところを明確にするのが重要です。
予算をカットしない部分を見極める
予算をオーバーした場合でも、以下のような建材や設備を無理にコストカットするのはおすすめしません。
- 断熱材
- 耐震設備
- セキュリティ設備
それぞれのポイントを解説します。
断熱材
断熱材は、室内を快適な温度に保つ上で必須の建材です。断熱材のグレードが低いと、夏は暑く、冬は寒い家になります。
また、断熱性が低いとエアコンなどの冷暖房費も高くなってしまいます。その結果、住み心地が悪くなり、後悔につながる可能性があるため注意しましょう。
耐震設備
地震が多い日本において、耐震性を低くするのは避けましょう。地震の際に家が倒壊しやすくなり、命の危険にさらされます。家族の命を守るためにも、耐震設備の予算はカットしないようにしましょう。
セキュリティ設備
防犯カメラやモニター付きインターフォンなど、セキュリティに関わる設備は削減しないようにしましょう。注文住宅を安く建てても、空き巣被害にあう可能性を高めてしまうと本末転倒です。
小さな子どもがいるご家庭であればなおさら、安心して暮らすためにもセキュリティ設備のコストは確保しておきましょう。
まとめ:適正な価格相場を理解して自身に合った注文住宅を建てよう
注文住宅の相場や費用を抑えるポイントを解説しました。
3~4人の家族向けの注文住宅を検討している方は、30坪を基準に考えるのがおすすめです。その場合、建築費用は3,000万円がひとつの目安となります。
注文住宅の費用を抑えるには、建物の構造や間取りをシンプルにする必要があります。しかし、断熱材や耐震設備など、住み心地を大きく左右する部分の予算はしっかり確保しておきましょう。
本記事で紹介した、注文住宅の相場や費用を抑えるポイントを踏まえて、適正な価格相場を理解し、自身に合った注文住宅を建てましょう。