マイホームを購入すると、固定資産税の支払いが課せられるようになります。一昔前までは現金払いや口座振替での支払いが主流でしたが、近年はキャッシュレス化の影響により多様な支払方法が選択できるようになりました。
この記事では、固定資産税の支払方法を一覧で紹介するとともに、よりお得に支払いを済ませるテクニックも解説します。「同じ額の固定資産税を支払うなら、少しでもお得な払い方を選びたい」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
固定資産税の支払方法一覧
固定資産税は地方税のため、自治体によって利用できる支払方法や納期限が異なります。基本的には年4回に分けて支払うことになっていますが、1年分を一括でまとめて支払うことも可能です。
一般的に利用できる固定資産税の支払方法を、下表にまとめました。
注意点 | 概要 | 領収証書 の発行 | 決済 手数料 | メリット | 注意点 |
現金 | 金融機関やコンビニに 行ってその場で支払い | あり | なし | その場で領収証書が 受け取れる | 店舗まで 足を運ぶ必要がある |
口座振替 | 口座から自動で引き落とし | なし | なし | 支払い忘れを防げる | 口座残高の不足に注意 |
Pay-easy(ペイジー) | パソコンやスマホからネットバンキングで支払い | なし | なし | 時間や場所を気にせず支払い可能 | ペイジーのロゴマーク付き納付書のみ対応 |
カード | クレジット専用の支払い サイトへアクセスして支払い | なし | あり | カードのポイントが貯まる | ・決済手数料がかかる ・対応していない自治体もある ・自治体窓口、金融機関、コンビニでのクレジットカード支払いは不可 |
電子マネー | 金融機関やコンビニに行ってその場で支払い | あり | なし | チャージ時にポイントが貯まる | チャージ上限以上の金額は支払えない |
決済 | QRコード納付書のQRコードを読み取って支払い | なし | なし | 時間や場所を気にせず支払い可能 | 自治体や決済アプリに よっては未対応 |
固定資産税の各支払方法にはメリット・デメリットがあります。ご自身にあったお得な払い方を選ぶため、各支払方法の詳細を見てみましょう。
1. 現金
現金払いは、もっともシンプルな支払方法です。自宅に届く納付書を金融機関やコンビニ、市町村の税事務所の窓口などに持っていき、その場で現金にて支払いをします。
手数料は無料で、すぐに領収証書を受け取れるのがメリットです。領収証書は納税証明書を取得するときなどに必要になるため、大切に保管しておきましょう。
ただしコンビニで支払い可能なものは、バーコードがついている納付書に限られると同時に、納付書1枚あたり30万円までが限度となります。それを超える額は、金融機関などの窓口でないと支払えません。
また、納付書をなくしたり、支払い忘れにならないように注意が必要です。支払いができるコンビニは納付書の裏面で確認ができますので、納付書が期限切れにならないよう早めに支払いをおこないましょう。
2. 口座振替
口座振替は、銀行口座から直接お金が引き落とされることで支払いが行われます。支払いのために窓口に足を運ぶ必要がなく手間がかからないため、従来からよく利用されている方法です。
一度手続きを行えばそのあとは自動でお金が引き落とされるので、支払い忘れを防げるというメリットもあります。
口座振替を利用する際の注意点は、振替開始まで現金支払いが必要になる場合があることと登録口座の残高不足です。
振替期限に申し込みや切り替えが間に合わない場合は口座振替の開始まで現金で支払いをする必要があります。
そして、登録した口座の残高が足りず口座振替が行われない場合、知らないうちに延滞金が発生してしまう恐れがあるため、注意が必要です。
口座振替の申し込み方法や申し込み期限、口座振替日は自治体によって様々です。多くの自治体ではWebでの申し込み、もしくは紙の口座振替依頼書により受付を行っています。
例えば、2023年度(令和5年度)の東京都で口座振替を利用する場合、申し込み期限は以下のとおりです。基本的にWeb申し込みでは振替当月10日まで、口座振替依頼書では振替前月10日までとなっています。
振替日 | Webでの申し込み期限 | 申し込み期限 | 口座振替依頼書での|
第1期 | 6月30日 | 6月10日 | 5月10日 |
第2期 | 10月2日 | 9月10日 | 8月10日 |
第3期 | 12月27日 | 12月10日 | 11月10日 |
第4期 | 令和6年2月29日 | 令和6年2月10日 | 令和6年1月10日 |
一括納税 | 6月30日 | 6月10日 | 5月10日 |
3. Pay-easy(ペイジー)
Pay-easy(ペイジー)とは、インターネットバンキングを利用した支払方法です。パソコンやスマートフォンのほか、ペイジー対応のATMからも利用できます。
ペイジーで支払う手順は、以下の3ステップです。
- 支払いに使いたい口座のインターネットバンキングのアカウントから、ペイジー支払いの画面にアクセス
- 案内に従って納付書に記載されている「収納機関番号・納付番号・確認番号・納付区分」の4つの数字を入力する
- 入力内容に間違いがないことを確認のうえで支払う
ペイジーで支払う最大のメリットは、窓口の営業時間などを気にせず、いつでも自分の好きなタイミングで支払いを行えることです。また、振込先や金額などは上記4つの数字を入れることで自動的に設定されるため、振込を間違える心配もありません。
注意点は、ペイジーが利用できる納付書にはペイジーのロゴマークがついているため、あらかじめ手元の納付書にマークがあるか確認する必要があることです。
また、ATMを利用して支払いをおこなう場合も、利用可能なATMにはペイジーのロゴマークが表示されていますので、あわせて確認してください。コンビニに設置されているATMでは利用ができません。
4. クレジットカード
税金のクレジットカード払いに対応している自治体も増えてきました。クレジットカードを使う場合、パソコンやスマートフォンから自治体が用意する支払いサイトにアクセスし、決済を行う方法が主流です。
上記のペイジーと同様にいつでもどこでも決済が可能なことに加え、分割払いができる、カードのポイントが貯められるという特有のメリットもあります。
注意点は、支払える金額に上限がある、自治体によって対応可能なカードブランドが異なる、決済手数料がかかることです。上限とはカードの支払い限度額のことでもありますが、自治体によって「〇万円未満の納付のみ使用可能」という形で限定されていることもあります。また、自治体窓口、金融機関、コンビニでのクレジットカード支払いはできません。
決済手数料については、納付する金額が増えるごとに一定額加算される方式をとっている自治体が一般的です。例えば東京都税の場合、最初の1万円までは73円、以降1万円ごとに75円が加算されていきます。
カードを使うことによって付与されるポイントよりも手数料が高くなるようでは、逆に損をすることになってしまうため、事前によく検討しておきましょう。
5. 電子マネー
nanacoやWAONといった電子マネーも、固定資産税の支払い手段として使用可能です。
例えば、nanacoはセブン-イレブンで利用できる電子マネーです。納付書をセブン-イレブンの店舗に持っていき、現金で支払う代わりに電子マネーで支払う形になります。
電子マネーはいわば現金の代わりなので、クレジットカードのような決済手数料は発生しません。あらかじめ電子マネーにクレジットカードからチャージをしておけば、手数料負担をなくしながらカードのポイントを貯められます。
注意点は、使用する電子マネーが税金支払いに対応している場合に限られていることと、チャージ金額の上限が定められていることです。固定資産税は数万円以上のまとまった金額での支払いとなるケースが多く、支払額が電子マネーのチャージ上限を超えているときは利用できません。
6. QRコード決済アプリ
PayPayや楽天PayなどのQRコード決済アプリを利用して、固定資産税を支払う方法です。
クレジットカードなどと同様に時間や場所を選ばず支払いができ、決済アプリによってポイントも付与されるのがメリットです。
QRコード支払いについては、令和5年(2023年)から「eL-QR」という統一規格のQRコードが納付書に印刷されるようになりました。対応している決済アプリであれば、全国どの自治体でも固定資産税がQRコード決済で支払えます。
QRコード決済アプリでの支払いについて知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
固定資産税の納付は楽天ペイがお得!メリットや支払方法を徹底解説
固定資産税はPayPayで支払える?メリットやデメリット、納付方法を解説
固定資産税は地方税のため自治体によって使える支払い手段が異なっていましたが、このように全国で統一の規格が登場したことで、利便性が大きく向上しました。
注意点は、LINE Payなど一部の決済アプリはeL-QR未対応(2024年7月現在)であることです。利用できる決済アプリは今後順次拡大していくと考えられ、現時点での対応アプリは、「地方税お支払サイト」で確認が可能です。
スマートフォン決済アプリ一覧 – 地方税お支払サイト (lta.go.jp)
【2023年最新】固定資産税のお得な払い方
ここまで紹介したとおり、固定資産税を支払う方法は多岐にわたります。そのなかでもお得な払い方を選びたい人は、以下3つの方法で固定資産税を納めることをオススメします。
- クレジットカードでポイントを獲得
- クレジットカードによる電子マネーチャージで手数料を無料に
- QRコード決済アプリでポイント二重取り
順に詳しく解説します。
クレジットカードでポイントを獲得
先述した通り、クレジットカードで固定資産税を支払えば、カードのポイントを貯めることが可能です。
例えば、還元率1.0%のクレジットカードを利用した場合、10万円の支払いで1,000ポイント(10万円×1.0%)が付与されます。納税によってポイントが付与されるクレジットカードを使用している方にとっては、手軽でお得な方法と言えるでしょう。
電子マネーにクレジットカードでチャージ
電子マネーでの固定資産税の支払いの前に、クレジットカードによるチャージをしておく方法です。
電子マネーで固定資産税を支払う場合には決済手数料が発生しないため、先述したクレジットカード決済の手数料問題をクリアできます。なおかつ、チャージによるポイント獲得も可能です。
ただし、クレジットカード会社によっては、特定の電子マネーとの組み合わせでないとポイントがつかない場合もあります。また、電子マネーへのチャージはポイント付与の対象外としているケースもあるため、使っているカードの情報を確認しておきましょう。
QRコード決済アプリでポイント二重取り
QRコード決済アプリでの支払いは、クレジットカードとの組み合わせによってポイントの二重取りできる場合があります。
Visa LINE Payカードを使っている方であればLINE Pay、dカードがある方ならドコモグループのd払いと紐付けしておくと、それぞれでポイントをもらうことが可能です。このほかにも、二重取りできるアプリとクレジットカードの組み合わせは多数あります。
同じグループ会社のクレジットカードと決済アプリをセットで使うと、お得になるケースが一般的です。自分が普段使用しているサービスを確認してみましょう。
固定資産税を支払う際の注意点
固定資産税のお得な払い方を選ぶにあたっては、いくつかの注意点もあります。
- クレジットカードのポイント還元率を正確に把握する
- 証明書の発行有無や発行スピードに合わせて適切な手段を検討する
- 納付期限を必ず守る
場合によっては損をしてしまったり、必要な書類がもらえなかったりと苦労する事態にもなりかねないため気をつけましょう。
各支払い方法の注意点まとめ
現金
- コンビニで支払い可能なものは、バーコードがついている納付書に限られる
- 納付書1枚あたり30万円までが限度
- 30万円を超える額は、金融機関などの窓口でないと支払えない
- 納付書をなくしたり、支払い忘れ(納付期限切れ)にならないよう注意
口座振替
- 登録した口座の残高不足で引き落としが行われない場合、延滞金が発生することがある
- 振替期限に申し込みや切り替えが間に合わない場合は、口座振替が始まるまでは現金などによる支払いが必要になることがある
Pay-easy(ペイジー)
- ペイジーが利用できる納付書・ATMにはペイジーのロゴマークがついているため、あらかじめマークがあるか確認してから支払いを行う
クレジット
- 決済手数料が別途かかる
- 支払える金額に上限がある
- 対応していない自治体もある
- 自治体窓口、金融機関、コンビニでのクレジットカード支払いはできない
電子マネー
- 使用する電子マネーが税金支払いに対応している場合に限られる
- チャージ金額の上限が定められているため、固定資産税の支払額が電子マネーのチャージ上限を超えているときは利用できない
QRコード
- LINE Payなど一部の決済アプリはeL-QR未対応(2024年7月現在)
- 現時点での対応アプリを、「地方税お支払サイト」で確認してから支払いをおこなう
クレジットカードのポイント還元率を正確に把握する
何度もお伝えしますが、固定資産税のクレジットカード払いでは、決済手数料によってかえって損をする可能性もあります。これを防ぐためには、ポイントの還元率と決済手数料をきちんと比較しておくことが大切です。
まずは自分の持っているクレジットカードの還元率を、カード会社のホームページなどでチェックしましょう。
多くの場合「決済額〇円につき1ポイント貯まる」というような記載がされています。還元率が何%になるのかは、以下の式で計算が可能です。
還元率=貯まるポイント数÷決済額 |
例えば「決済額100円につき1ポイント貯まる」カードの場合は、次のように計算できます。
1÷100=0.01
この場合、還元率は1.0%です。
また、「決済額200円につき1ポイント貯まる」カードの場合であれば、以下のようになります。
1÷200=0.005
つまり、還元率は0.005=0.5%です。
このとき、貯まったポイントが何円分の価値になるのかをきちんと把握しておきましょう。クレジットカードのポイントは必ずしも「1ポイント=1円」として使えるとは限らず、ギフトとの交換など用途が限定されていることもあります。
こちらもカード会社のホームページなどで確認しておくと良いでしょう。
証明書の発行有無や発行スピードに合わせて適切な手段を検討する
納税証明書が必要な方の場合、領収証書がその場ですぐにもらえる現金決済もしくは電子マネー決済を選ぶのがおすすめです。
納税証明書とは、税金の支払いを済ませていることを証明するものであり、主に不動産収入のある方などが確定申告で使用します。通常は申請から手元に郵送されてくるまでに数週間を要しますが、支払ったときの領収証書を自治体の窓口に持っていけば、即日交付を受けることが可能です。
しかし、口座振替やクレジットカード決済では基本的に領収書が発行されません。納税証明書が必要になった場合、窓口や郵送、電子での申請が可能で、郵送での申請では1週間~10日待つことになるため注意しましょう。
※一部、都税事務所の窓口では発行手続き可能な場合もあります。
ただし、クレジットカードまたはeL-QR読み取りによるスマホ納税の場合は、納付手続き後から約1か月間においては、「機構指定納付受託者に納付の委託が行われている」旨の記載がされ、当該納付については未納として納税証明を発行することになります。
納付期限を必ず守る
固定資産税は、納付期限を守らないと延滞金が発生します。
延滞金の年率は年度ごとに変動しますが、2023年度(令和5年度)の東京都の場合、期限から1ヶ月までは2.4%、それ以降は8.7%です。日割り計算のため、支払いが遅れるほど延滞金はどんどん膨れ上がってしまいます。
期限までに支払える目処が立たない場合は、早めに市町村の窓口へ相談しましょう。多くの自治体では減額や免除、支払いの猶予といった制度を整えているため、対処が難しくなってしまう前に相談してみてください。
まとめ:クレジットカードやQRコード決済アプリなどを活用して固定資産税をお得に支払おう
近年では固定資産税の支払い手段が多様化し、電子マネーやQRコード決済アプリといったキャッシュレス決済も使えるようになりました。
現状は自治体によって対応にばらつきがあったり、使える決済アプリが限られていたりします。しかし、今後も税金のキャッシュレス支払いは順次対応・拡大していく可能性があります。
固定資産税は、マイホームを購入した人なら必ず支払うことになるため、ポイントが貯まるなど少しでもお得な払い方を選んでみてください。
固定資産税の調べ方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。