建売住宅は、新築の建物とその土地を同時に購入できる住まいの形です。手頃な価格帯と好立地な傾向にある点が大きな特徴であり、お得にマイホームを手に入れたい人に適しています。
しかし、建売住宅にはメリットだけでなくデメリットもあります。マイホームへ求める条件によっては、物足りなさを感じる人もいるかもしれません。
本記事では、注文住宅と建売住宅どっちがいいか迷われている方に向けて、注文住宅の方が向いている人の特徴や建売住宅を購入してから後悔しないためのポイントも解説しているため、参考にしてみてください。
建売住宅より注文住宅が向いている人の特徴
建売住宅より注文住宅が向いている人の特徴として、以下の5つが挙げられます。
- デザインにこだわりがある人
- 理想的な間取りを住居に反映させたい人
- 住宅性能を重視している人
- 将来的にリフォームを検討している人
- 建築過程をじっくりと確認したい人
順に詳しく見ていきましょう。
1. デザインにこだわりがある人
一般的には、建売住宅は、注文住宅とは異なり外観の独自性を重視しにくい傾向にあります。最近の建売住宅ではデザイン性や性能なども良いものが増えてきていますが、デザインにこだわりがある人や、住宅にオリジナリティを求める人には、建売住宅ではなく注文住宅が向いているといえます。
建売住宅は、設計や建材を規格化し、材料を一括仕入れすることで予算を抑えており、似たようなデザインとなる場合が多いです。分譲地であれば、類似したデザインの建物が周囲に並ぶため、第三者が見ても建売住宅であることがわかってしまうということも考えられます。
デザインよりも予算を重視したい人や、外観ではなくインテリアなどで個性を出したい人には建売住宅がおすすめです。
また、建売のメーカーは「1つの家」だけではなく「1つの街並み」をつくることができるため、個よりも街並みを重視したい人も建売住宅がおすすめです。
2.「 理想の間取り」が具体的にある人
建物完成までの計画が立てられており、建築許可の申請まで済ませて販売される建売住宅は、既に間取りが決まっているケースが一般的です。間取りは基本的に生活動線を考慮して設計されていますが、自由度の低さをデメリットと捉える人もいます。
注文住宅ではゼロから間取りを作ることになるため、細かな要望でも間取りに反映することが可能です。例えば、リビングを広くしたい、ランドリールームやファミリークローゼットなどを設置したいなどの要望も叶えられます。
だからといって建売住宅が注文住宅よりも暮らしにくいということではありません。建売住宅も使い勝手を重視した間取りや設備設計がされているため、十分に暮らしやすく快適な住環境を整えることができます。
3. 床や壁の素材や建具、設備にこだわりたい人
建売住宅は、既に完成した状態で販売されていることが多いため、床の素材や建具、設備にこだわりたい人は、建売住宅ではなく注文住宅が向いているといえます。
注文住宅では、外壁や床の色・素材に加え、水回りの設備、エアコンや照明等の家電もひとつひとつ好みのものを選んでいくことができます。インテリアコーディネーターが担当としてついてくれるということも多く、家の雰囲気に合った自分好みの家具や照明やカーテン等を相談することができます。
ただ、建売住宅でも契約のタイミングによって契約者がクロスの色や設備オプションを選べる場合もあります。
床材や建具も統一感が出るようにあらかじめコーディネートされている場合も多くあり、内装に合わせた家具付きで販売されている場合もあります。家具付き物件の場合、引っ越し後に家具を買いそろえる必要がないため、入居後はスムーズに生活を始められます。
4. 住宅性能を重視している人
建売住宅はコストを抑えるために、住宅の性能も標準的である場合がほとんどです。外壁や屋根などの建材を選ぶのは難しく、住宅性能をコントロールしにくいでしょう。
注文住宅は、希望すれば住宅の性能を数値化した「住宅性能評価書」を取得できます。コストはかかりますが、求める住宅性能を自身でコントロールしやすいため、耐震性や断熱性などにこだわりたい人には適しています。
一方、建売住宅では住宅性能評価書を取得している会社としていない会社があります。住宅性能評価書の交付を希望する場合は、最初から取得している建売住宅を探す必要があり、物件探しに多少苦労するかもしれません。
住宅性能が一定水準を満たしていればよい、性能よりもコストを重視したいという人には建売住宅がおすすめです。
また、性能を配慮しながらコスパも叶えられる、「性能・価格の両方をいいとこ取りした」建売住宅メーカーもあります。
5. 将来的にリフォームを検討している人
住宅に必要な間取りや構造は、住む人のライフスタイルや家族構成によって大きく異なります。例えば、子どもたちが幼いときは広めの子ども部屋を一つ用意しておき、小学校や中学校への入学を機に、部屋を一人ずつに分割するといった方法があります。
注文住宅は、設計の段階から将来のライフスタイルを考えて、リフォームしやすい間取りにするなどの柔軟な対応が可能です。
一方建売住宅では、リフォームしやすい工法や構造の物件を探す必要が出てきます。手間がかかる可能性もありますが、大きな1つの部屋を将来的に2つに分けられる設計になっている「将来間仕切り」を採用している建売住宅もあります。
6. 建築過程をじっくりと確認したい人
建売住宅は、建物がすでに完成している場合が多いため、構造躯体など目に見えない部分は事前に確認できません。
対する注文住宅は、基礎工事の段階から順番に建築過程を確認できます。工事中の現場を見て疑問点があれば現場監督に直接聞けるだけでなく、施主が訪れることで現場によい意味での緊張感も生まれるでしょう。
建売住宅のなかには欠陥住宅が一部存在している事実もあり、建築途中の様子が確認できないのはやや不安が残るという人も少なくないでしょう。一方で、契約後なるべく早く入居したいという人には、工事計画が決まっている、または既に完成している建売住宅を選ぶメリットは大きいのではないでしょうか?
建売住宅のメリット・デメリットについて詳しく知りたい人は、次の記事もあわせてご覧ください。
建売住宅のメリット・デメリットを徹底比較!向いているのはこんな人
建売住宅を購入してから後悔しないためのポイント
建売住宅の購入後に後悔してしまわないよう、あらかじめ以下4つのポイントを心に留めておきましょう。
- 建物の仕様や間取りを十分に確認する
- トータルコストを視野に入れる
- 土地や立地の情報を調べておく
- 施工会社の評判を調べる
建売住宅が向いているか悩んでいる人も、購入後に失敗した!とならない為の対策方法や建売住宅を選ぶ際に抑えておきたいポイントを知っていれば、建売住宅を買ってよかったと満足のいく結果を得られるのではないでしょうか。
建物の仕様や間取りを十分に確認する
建売住宅は基本的には完成した状態で販売されるため、自身でリフォームしなければ外観や間取りを変更できませんが、建売住宅は 、購入前に物件の内見会などで、納得がいくまで仕様や間取りを確認できることがメリットなので、最大限に活用することが重要です。
内見会では実際に住宅を見て回れるため、インターネットの物件情報やカタログではわからない部分まで細かくチェックできます。家族内での優先順位を決め、実際に建具や家事動線、日当たりなどを見ながら、以下のような症状がないかも見てみてください。
- ドアや窓の開閉異常の有無
- クロス・フローリングなどのキズや汚れ
- 床の音鳴り など
これらのポイントを入念に確認しておけば、購入後に後悔する可能性を減らせるでしょう。
建売住宅で後悔しがちな6つのパターン|失敗を避ける対策も紹介
トータルコストを視野に入れる
建売住宅は、注文住宅と比較して物件購入費用を抑えられるため、住宅の性能よりも価格を重視したい人に向いています。ただし、建売住宅を購入する際も、物件の購入費用だけでなく、印紙税・仲介手数料・住宅ローン借入にかかる費用といった諸費用も発生することを把握しておきましょう。
購入前・購入時・住宅ローン借入時など、費用によって支払うタイミングが異なる点にも注意が必要です。
予算を超えないよう調整するには、トータルコストを把握していなければなりません。事前にある程度相場を調べておき、綿密な資金計画を立てましょう。
建売住宅が安い理由は、こちらで詳しく解説しています。
土地や立地の情報を調べておく
建売住宅は立地のいい場所に建てられる傾向にありますが、理想的な立地条件は人によってさまざまです。購入前に、立地に関する自身の優先順位を明確にしてみましょう。
検討要素としては、以下のようなものがあります。
- 日当たり
- 周辺の施設・公共交通機関
- 子どもの遊び場
- 学校までの距離
子どもが小学生や中学生の場合は、通学時の防犯面も考慮してみてください。
また、災害リスクや資産価値などもふまえて、土地の品質を確認しておきます。川沿いや海に近い物件、水田があった場所、標高の低い場所にある物件であれば、洪水や土砂災害などのリスクがわかる「ハザードマップ」を参考に、氾濫の恐れがないか調べておきましょう。
周辺環境を入念に確認し、将来的に資産価値が低下しないかどうかの見極めが必要です。
施工会社の評判を調べる
建売住宅を購入する前に、施工会社の評判を調べておきましょう。
建売住宅は、不動産会社が販売しているケースが大半です。ただし、実際に施工するのは一般的に別の会社であるため、不動産会社に問い合わせて施工会社を確認しておくことをおすすめします。
入居後に何か不具合などがあった場合の連絡先は、販売会社ではなく施工会社になることが多いためです。
施工会社の情報がわかったら、インターネットやSNSなどで事前に口コミをチェックしてみてください。評判が悪い場合、販売会社がよかったとしても購入は見送るほうが賢明です。
また、アフターサービスの充実度もあわせて確認しておきましょう。アフターサービスが充実している会社であれば、万一不具合やトラブルが発生した際にも安心して任せられます。
まとめ:注文住宅と建売住宅どっちがいいかは、向き・不向きをもとに理想的な住宅を探そう
建売住宅は立地のいい場所に建てられていることが多く、手頃な価格で購入できますが、デザインや間取り、住宅性能などで制約を受けるケースもあります。建売住宅を購入して後悔しないためには、自身が住まいに求める優先順位を明確にしておくことが重要です。
本記事で紹介した、建売住宅より注文住宅が向いている人の特徴をふまえたうえで、自身の向き・不向きを考慮し、住み心地のよい理想的なマイホームを探しましょう。