昨今の電気料金の高騰や災害時の備えの必要性から、家庭用太陽光発電の導入を検討されている方も多いのではないでしょうか。
家庭用太陽光発電は、電気代の削減だけでなく、停電時の非常用電源としての活用など、多くのメリットがあります。しかし、初期費用や管理コスト、反射光問題といった注意点も存在します。
導入後に後悔しないためには、メリットとデメリットの両面を理解した上で、家庭用太陽光発電のメリットを最大限に活かすポイントを押さえておくことが重要です。
本記事では、家庭用太陽光発電のメリット・デメリットをわかりやすく解説し、メリットを最大限に引き出すためのポイントを紹介します。家庭用太陽光発電の導入を検討する際の参考にぜひご活用ください。
家庭用太陽光発電とは
家庭用太陽光発電とは、住宅の屋根や駐車場のカーポートなどに設置したソーラーパネルで発電するシステムで、自家発電した電気を家庭で消費したり、余剰分を電力会社に売電したりすることができます。
太陽光発電システムを構成する主な装置は以下の5つです。
- ソーラーパネル:太陽光を集めて電気に変換する装置
- パワーコンディショナー:ソーラーパネルで発電された電気(直流電流)を家庭で使える交流電流に変換する装置
- 分電盤:家庭内の各部屋や家電製品に交流電流を分配する装置
- 電力メーター:電力会社から購入した電気(買電)と、太陽光発電で余った電気を電力会社に売った電気(売電)の量を計測する装置
- 蓄電池(オプション):ソーラーパネルで発電した電気を貯めておく装置
これらの装置を用いて、次のような流れで太陽光発電を行います。
- 太陽光をソーラーパネルで集める
- 集めた太陽光エネルギーをパワーコンディショナーで家庭用電気(交流電流)に変換する
- 分電盤を通じて各部屋や家電製品に電気を供給する
- 余剰電力は売電するか、蓄電池に充電する
太陽光発電で作られた電気を自家消費したり蓄電したりすることで、電気代の節約や災害時の停電対策など、さまざまなメリットが得られます。
しかし、導入にはいくつかの注意点もあります。
家庭用太陽光発電の導入を検討する際には、メリットだけでなく、デメリットも十分に理解したうえで、慎重に判断することが重要です。
家庭用太陽光発電のメリット
家庭用太陽光発電を導入するメリットには、主に次の4つが挙げられます。
- 電気代の削減につながる
- 売電によって副収入が得られる
- 災害時の非常用電源として活用できる
- 補助金の対象になる可能性がある
それぞれ詳しく見てみましょう。
1.電気代の削減につながる
家庭用太陽光発電を導入すると、発電した電気を優先的に自宅で消費できるため、電気代の削減につながります。
特に、「電気料金が昼間は高く夜間は安い」という料金プランを契約している場合は、電気料金が高い昼間に自家発電した電気を利用することで、光熱費を大幅に節約できます。
電気料金は電力会社、契約プラン、使用量などによって異なるため、一度ご自宅の契約内容を確認してみることをおすすめします。
なお、AVANTIAの省エネ住宅「AVANTIA01」では、定額電力サービスで契約し、蓄電池を導入した場合には売電収入を含め年間最大167,100円の電気代削減につながります。
2.売電によって副収入が得られる
FIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)の認定を受けた家庭用太陽光発電システムであれば、自家消費で余った電気を電力会社に売電し、副収入を得ることができます。
FIT制度とは、太陽光発電などの再生可能エネルギーで発電した電力を、電力会社が一定期間、固定価格で買い取ることを国が保証する制度です。FIT認定を受けると、一定期間は安定した売電収入が見込めます。
なお、2024年度の10kW未満(家庭用)の固定買取価格は、1kWあたり16円で、期間は10年間です。
売電収入の金額は、主に太陽光発電システムの出力、日照時間、自家消費量によって変動します。家庭用太陽光発電の導入を検討する際は、年間発電量の目安と電力固定買取価格を参考に、具体的にどの程度の収入が見込めるのかシミュレーションしておきましょう。
また、太陽光発電の導入後は、装置に異常がないかモニターで確認する程度で、複雑な操作は必要ありません。手間をかけずに副収入を得られる点は、家庭用太陽光発電の大きな魅力の一つです。
3.災害時の非常用電源として活用できる
家庭用太陽光発電は、災害時の停電対策としても有効です。
災害時による停電が発生した場合、エアコン、冷蔵庫、照明器具など、日常生活に欠かせない家電製品が使えなくなるだけでなく、スマートフォンなどの連絡手段の充電もできなくなります。
このような状況でも、太陽光発電システムと蓄電池を組み合わせることで、昼夜を問わず電気を利用できるため、安心して生活できます。
ただし、太陽光発電システムの中には、停電時に自動で切り替わるものと、手動で切り替え操作が必要なものがあります。また、使用できるコンセントの位置や家電製品の消費電力によっては、利用に制限がある場合もあります。
太陽光発電システムを導入した際は、取扱説明書を確認し、非常時の操作方法や使用できる家電製品をあらかじめ把握しておきましょう。
4.補助金の対象になる可能性がある
家庭用太陽光発電システムを設置する場合、補助金を利用して費用を抑えられる可能性があります。
特に、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の基準を満たす住宅に太陽光発電システムを設置すると、補助金の対象となります。ZEHとは、年間の一次エネルギー消費量(空調・給湯・照明・換気など)の収支を実質ゼロ以下にする住宅のことです。
ZEHの基準を満たすことで、2024年度のZEH関連補助金は1戸あたり55万円~の補助金を受けられる可能性があります。
太陽光発電システム単体への国の補助金は2014年に終了していますが、地方自治体独自の補助金制度は現在も存在します。
地方自治体 | 制度名 | 概要 |
---|---|---|
愛知県 | 愛知県住宅用地球温暖化対策設備導入促進費補助金(市町村との協調補助) | 地球温暖化対策の一環として、住宅の省エネ設備導入を支援する補助金です。太陽光発電システムやHEMS、燃料電池など、様々な設備が対象となります。 個人での申請は、居住する市町村を通じて行う必要があります。 |
東京都 | 令和6年度東京ゼロエミ住宅導入促進事業 | 都内で新築住宅を建設する個人・事業者に対して補助金が交付されます。住宅建設費、太陽光発電設備、蓄電池、V2Hの設置費用などが補助対象です。 一定の要件を満たす新築の「東京ゼロエミ住宅」は、不動産取得税が最大で全額減免される「太陽光パネル付きゼロエミ住宅導入促進税制」も利用できます。 |
岐阜県 | 岐阜市家庭用太陽光発電設備普及促進補助金 | 岐阜県民の太陽光発電システム導入を支援しています。最大35万円の太陽光発電設備補助に加え、蓄電池を同時設置する場合には最大25.8万円の補助が受けられます。 ただし、FIT・FIP制度の未認定や、蓄電池の価格制限など、一定の条件があります。 |
今回は一部の制度をご紹介しましたが、お住まいの地域やこれから住み始める予定の地域にも、同様の補助金制度があるかもしれません。ぜひ一度、各地方自治体のウェブサイトなどでご確認ください。
ZEHについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
ZEH(ゼッチ)とは?メリットやデメリット、購入時のポイントを解説
家庭用太陽光発電のデメリット
家庭用太陽光発電のデメリットには、以下3つが考えられます。
- 初期費用や保守管理コストが発生する
- 発電量や売電収入が安定しない可能性がある
- 反射光問題のトラブルが発生するリスクがある
これらのデメリットも理解したうえで、導入を検討してみてください。
1.初期費用や保守管理コストが発生する
家庭用太陽光発電システムの導入には、初期費用と保守管理コストがかかります。
太陽光発電システムは、ソーラーパネルだけでなく、パワーコンディショナー、分電盤、架台などの周辺機器も必要です。新築の場合、これらの設備の設置費用や工事費用を含めると、一般的に100万~150万円程度の初期費用がかかります。
また、ソーラーパネルは屋根の上に設置されるため、雨風や塵埃の影響を受けやすく、定期的な清掃やメンテナンスが必要です。
パワーコンディショナーも、長期間の使用で劣化するため、ソーラーパネル同様、定期的な点検や交換が必要になります。
これらの初期費用や保守管理コストを考慮し、導入前にしっかりと資金計画を立てましょう。
2.発電量や売電収入が安定しない可能性がある
太陽光発電は、太陽光を利用して発電するため、発電量は天候や季節に大きく左右されます。
くもりや雨の日には発電量が低下し、夜間は発電できません。また、冬は日照時間が短いため、夏に比べて発電量が減少する傾向にあります。
発電量が安定しないということは、売電収入も不安定になる可能性があるということです。
さらに、FIT制度の固定買取価格は、FIT認定を受けた年度によって異なります。前述の通り、2024年度の家庭用太陽光発電システム(10kW未満)の固定買取価格は、1kWあたり16円で、期間は10年間です。
固定買取価格は年々低下する傾向にあるため、設置年度によっては、想定よりも売電収入が少なくなってしまう可能性もあります。
家庭用太陽光発電システムの導入を検討する際は、年間発電量のシミュレーションを行い、発電量や売電収入の目安を調べておきましょう。
3.反射光問題のトラブルが発生するリスクがある
太陽光発電システムに必要なソーラーパネルを設置すると、反射光問題が発生するリスクがあります。
反射光問題とは、ソーラーパネルに反射した太陽光が、近隣の住宅や建物の窓などに差し込んでしまう問題です。
反射光が差し込むことで、以下のような被害が生じ、近隣トラブルに発展する可能性があります。
- まぶしくて生活に支障が出る
- 室内温度が上昇し、熱中症のリスクが高まる
ただし、ソーラーパネルの設置場所や角度を工夫することで、反射光問題は防ぐことができます。施工会社によっては、周辺環境を考慮して、反射光の影響を最小限に抑えるような設置方法を提案してくれる場合もあります。
太陽光発電システムの導入を検討する際は、発電量や売電収入のシミュレーションだけでなく、反射光問題についても事前に施工会社に相談し、対策を検討しておくことが大切です。
一般住宅における太陽光発電システムの規模
一般住宅に設置する太陽光発電システムの規模について、以下の2つの観点から解説します。
- 家庭用太陽光発電に必要な容量
- 家庭用太陽光発電の費用相場
ご自宅に最適な太陽光発電システムを選ぶ際の参考としてください。
家庭用太陽光発電に必要な容量
一戸建て住宅に家庭用太陽光発電システムを設置する場合、必要となる容量の目安は以下の通りです。
家族構成 | 設置容量の目安 | 年間発電量の目安 |
---|---|---|
3人家族 | 3.7kW | 3,650kWh |
4人家族 | 4kW | 3,940kWh |
5人家族 | 4.5kW | 4,430kWh |
一般的に、家庭用の発電容量1kWのソーラーパネルは、1日あたり約2.7kWh発電するといわれています。したがって、3~5人家族の設置容量の目安から算出できる年間の発電量は、3,650~4,430kWh程度と考えられます。(※注意:年間発電量は、日照条件や設置確度、パネルの性能などによって変動します。あくまで目安としてご参照ください。)
環境省が公表した「令和3年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査 資料編(確報値)」によると、一般家庭の年間電力消費量は平均4,175kWhです。
ただし、居住エリアや生活スタイル、家族構成によって電力消費量は異なるため、ご自宅の1日の電力消費量を把握したうえで、必要な太陽光発電システムの容量を検討しましょう。
家庭用太陽光発電の費用相場
経済産業省・資源エネルギー庁の資料「太陽光発電について」によると、2023年における家庭用太陽光発電システムの設置費用は、新築の場合、1kWあたり平均28.8万円です。
新築住宅における家庭用太陽光発電システムの平均設置費用は、直近5年間で以下のように推移しています。
4人家族の設置容量の目安である4kWの場合、2023年設置費用は115.2万円の費用となります。
ただし、これはあくまでも目安であり、太陽光発電システムのメーカーや住宅の状況によって費用は変動します。実際に設置できる容量や最終的な費用については、施工会社に見積りを依頼し、確認する必要があります。
家庭用太陽光発電の効果を最大化するためのポイント
家庭用太陽光発電の効果を最大化するためには、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
- 売電よりも自家消費を優先する
- 蓄電池を活用する
- 信頼できる施工会社を選ぶ
それぞれ詳しく解説します。
売電よりも自家消費を優先する
家庭用太陽光発電は、売電よりも自家消費を優先することで、電気代の負担をより効果的に軽減できます。
なぜなら、家庭用太陽光発電システムの初期費用は年々低下しているものの、FIT制度の固定買取価格も同時に低下傾向にあり、売電による収入増加が難しくなっているからです。
売電を主目的とするのではなく、太陽光発電で発電した電気を自宅で消費し、電力会社から購入する電気量を減らすことを意識しましょう。自家消費を優先すれば、FIT制度の固定買取価格の変動に左右されず、固定買取期間終了後も効率的な運用が可能です。
蓄電池を活用する
太陽光発電システムと蓄電池を併用することで、発電した電気を自家消費しながら、余剰分を蓄えておくが可能です。
太陽光発電システム単体では、電気を蓄える機能がありません。FIT認定を受けた家庭用太陽光発電システムの場合、余剰電力は自動的に売電されます。
しかし、天候が悪い日や夜間など、発電量が少なく、太陽光発電だけでは電力が不足する場合、電力会社から電気を購入しなければなりません。電力消費量が多い時間帯や発電量が不足するタイミングは、家庭によっても異なりますし、天候にも左右されます。
蓄電池があれば、電力消費のピーク時や発電できない夜間でも、蓄えた電気を使って自家消費できます。太陽光発電で発電した電気を無駄なく活用できるだけでなく、停電時の備えとしても有効です。
信頼できる施工会社を選ぶ
家庭用太陽光発電の効果を最大化に引き出すためには、信頼できる施工会社を選ぶことが重要です。
専門知識と豊富な実績を持つ施工会社から適切なアドバイスを受けることで、最適なシステム設計や設置が可能になり、太陽光発電の効果を最大化できます。
信頼できる施工会社を見極めるには、次のようなポイントに着目してみてください。
- 電気工事士などの資格の有無
- メーカー認定の有無
- 施工実績
- 会社のホームページの内容
- 行政指導歴の有無
また、施工会社にすべて任せるのではなく、自身でも情報収集を行いましょう。インターネットなどで情報を集め、施工会社には以下の点を確認し、疑問点を解消しておきましょう。
- 現地調査の結果
- 作業内容
- 見積もり内容
- 発電シミュレーション
- 補助金に関する説明
AVANTIAの住宅は、住宅性能表示制度の6項目で最高等級を取得し、省エネ性能ラベル(BELS)を、得しており、快適な暮らしを実現してきた実績があります。加えて、2024年以降は全棟ソーラーパネルを標準搭載(※諸条件により、設置できない場合有)としています。
家庭用太陽光発電システムの導入を検討している方は、ぜひAVANTIAにご相談ください。
→AVANTIAの太陽光発電システムについて詳しく見てみる
まとめ:家庭用太陽光発電のメリット・デメリットを理解して導入を検討しよう
家庭用太陽光発電の導入には、電気代の削減、売電による副収入、災害時の非常用電源としての生活など、さまざまなメリットがあります。一方で、初期費用や保守管理コストの発生、反射光問題による隣人トラブルなどのデメリットも存在します。
ご自宅に家庭用太陽光発電システムを設置する際には、メリット・デメリットの両面を理解したうえで、導入の検討を行いましょう。
太陽光発電の効果を最大化に引き出すためには、蓄電池を併用して自家消費を優先する、信頼できる施工会社を選ぶといったポイントも大切です。
AVANTIAの省エネ住宅「AVANTIA01」は、2024年以降、全棟にソーラーパネルを標準設置しています。(※諸条件により、設置できない場合有)ソーラーパネルを設置する際は、お客様のライフスタイルに合わせた2種類の契約方法をご提案しています。
- 初期費用0円で設置し、13年後に無償で譲渡される契約
- 発電した電気を無料で利用でき、売電収入も得られる契約
電気代のシミュレーションや、お客様に合った効果的な電気の使い方など、気になる情報についても丁寧にご説明いたします。家庭用太陽光発電の導入に関する疑問や不安がありましたら、お気軽にAVANTIAまでお問い合わせください。