名古屋市には、子育てに関する支援制度が豊富にあります。子育て支援制度の内容を理解したうえで有効に活用することで、子育ての負担を軽減し、安心して暮らしやすくなるはずです。
この記事では、名古屋市の子育て支援制度について、「妊娠・出産」と「育児」に役立つ内容に分けて解説します。名古屋市で子育てを行う際に確認すべき点もご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
名古屋市の妊娠・出産に関する子育て支援制度
まずは、名古屋市の妊娠・出産に関する子育て支援制度を5つご紹介します。
- 妊婦・子育て家庭応援金
- 妊婦のための緊急時タクシー利用券
- ナゴヤわくわくプレゼント事業「BABY YELL!」
- なごや子育てアプリ「NAGOMii」
- 子育て応援ブック「なごやっ子」
順に詳しく見ていきましょう。
妊婦・子育て家庭応援金
名古屋市の「妊婦・子育て家庭応援金」とは、すべての妊婦や子育て世帯が安心して出産や育児ができるよう、支援金を給付する制度です。国の「出産・子育て応援交付金」を活用し、実施されています。
妊婦・子育て家庭応援金の支給対象者は以下の通りです。
- 2023年3月1日以降に妊娠届出をし、母子健康手帳交付時などに本人面談を済ませた妊婦
- 2023年3月1日以降に出産し、新生児乳児訪問が済んでいる方
前者の場合は妊婦応援金として、妊婦1人あたり5万円、後者の場合は子育て家庭応援金として、出生児1人あたり5万円(双子の場合は10万円)が支給されます。
制度の対象者には、市から申請書などが送付されるため、必要事項を記入し、申請期限までに同封の返信用封筒で返送する必要があります。
妊婦のための緊急時タクシー利用券
名古屋市では、妊婦の緊急時の移動にかかる心身への負担を軽減させる目的で、緊急時のタクシー利用券を交付しています。対象者は、名古屋市の住民票を取得済みで、かつ出産予定日が2023年1月1日以降の妊婦の方です。
タクシー利用券は、出産時や妊娠中または出産直後の体調不良などで、医療機関を利用する際に使用できます。1枚500円の券が20枚つづりとなっており、名古屋交通圏のタクシーのみ利用できます。
ナゴヤわくわくプレゼント事業「BABY YELL!」
ナゴヤわくわくプレゼント事業「BABY YELL!」とは、子育て世帯が子どもの誕生を喜び、笑顔や希望のある子育てを始められるように、子育てに必要な商品やサービスなどを各家庭で選択し受け取れる事業です。
選べる商品やサービスには、以下のようなものがあります。
カテゴリ | 商品、サービス |
家事・育児関連サービス | 家事や育児サービス、ベビーシッター、タクシー利用券など |
乳幼児衣料品 | アウター、肌着、靴下、靴など |
育児消耗品 | ミルク、離乳食、おむつ、おしり拭きなど |
おもちゃ | 知育おもちゃ、乗用おもちゃ、ブロック、絵本など |
育児日用品 | ベビーカー、チャイルドシート、抱っこひも、哺乳瓶など |
衛生資材 | マスク、アルコール |
施設利用券 | 名古屋市内および近隣の親子で楽しめる施設の利用券 |
金券 | 主に子育て用品を利用目的とするもの、利用上限10,000ポイント |
防災グッズ | – |
名古屋特産品 | – |
カタログに掲載されている上記のような商品・サービスから、合計50,000ポイント(5万円相当)を選べます。
この事業は、事前の申請手続きが不要で、送付された案内状に記載されているIDやパスワードで専用サイトにログインし、プレゼントを選択できます。ただし、付与されるポイントには有効期限がある点には注意しましょう。
出典:名古屋市:ナゴヤわくわくプレゼント事業「BABY YELL!」について
なごや子育てアプリ「NAGOMii」
なごや子育てアプリの「NAGOMii(なごみー)」は、妊娠から出産、子育てまで一貫した情報を管理するための公式モバイルアプリです。子育てに関する情報収集や子育て施設の検索、役立つ情報の配信など便利な機能が充実しています。
具体的には、以下のような機能が使用可能です。
機能 | 内容 |
お知らせ機能 | 妊婦向けの情報や子どもの健康診査の時期などが分かる |
施設マップ | 子育て家庭優待カード「ぴよか」の協賛店、保育所や幼稚園、親子が集まれる場所などの位置と現在地からの経路が検索できる |
子育て支援情報 | 子どもや子育てに関する名古屋市の施策や相談窓口情報わかる |
出産・子育てお役立ち情報 | 妊娠時期に応じた胎児や母体の状態、お役立ち情報がわかる |
ぴよかの使用 | 協賛店で「ぴよか」の画像を提示して使用できる |
子育て日記帳 | 予防接種の記録や子どもの成長記録を日記形式で保存できる |
緊急のとき | 子どもの急病時の対応や相談先、休日急病診療所がわかる |
アプリ内では、子育てに関する情報を網羅的に収集・管理できます。また、子育て家庭優待カード「ぴよか」を画面表示させ、協賛店で提示することで、協賛店が独自に定める割引などの特典が受けられます。
出典:名古屋市:なごや子育てアプリNAGOMii(なごみー)
子育て応援ブック「なごやっ子」
子育て応援ブック「なごやっ子」は、妊娠から出産、青少年期にいたるまでの子育て家庭に役立つガイドブックです。
同冊子では、以下のような情報が体系的に紹介されています。
- 出産前の心構え
- 出産・育児中に活用できる制度
- 子どもが生まれてから行うべきこと
- 保育所や幼稚園の情報
- 子育ての相談窓口
- ひとり親家庭や障害のある子どもへの支援制度
- 子どもと楽しめる場所
- 小学生から青少年期を迎えるまでにできること など
「なごやっ子」は保健センターで母子手帳とあわせて受け取れるほか、PDF形式でも閲覧・ダウンロードが可能です。
名古屋市の育児に関する子育て支援制度
続いて、名古屋市の育児に関する子育て支援制度を5つご紹介します。
- 幼児教育・保育の無償化
- 赤ちゃん訪問事業
- 名古屋市地域子育て支援拠点事業
- 児童遊園地・どんぐりひろば
- ひとり親家庭手当・愛知県遺児手当
各制度の内容を確認していきましょう。
幼児教育・保育の無償化
国の制度として、2019年(令和元年)10月1日から始まった「幼児教育や保育に関する費用の無償化」があり、名古屋市でも利用できます。
無償化の対象となるのは、保育所・認定こども園・幼稚園などを利用する3〜5歳の子ども、または住民税非課税世帯等の0~2歳の子どもの利用料です。
同制度は、最初の5年間は経過措置期間として、必要な手続きを完了したすべての認可外保育施設が無償化の対象となっていました。しかし、2024年10月以降は、国の定める基準を満たし、その証明書を取得している施設のみが無償化の対象となります。
なお、必要書類を提出することで、企業主導型保育事業や幼稚園の預かり保育などでも無償化が適用されますが、幼稚園の預かり保育に関しては上限がある点には注意が必要です。
出典:幼児教育・保育の無償化|こども家庭庁、名古屋市:幼児教育・保育の無償化
赤ちゃん訪問事業
赤ちゃん訪問事業とは、地域の主任児童委員と区域担当児童委員が、子育て中の家庭を訪問し、居住エリアの子育て支援情報などを提供する事業です。厚生労働大臣から委託された近隣の主任児童委員や区域担当児童委員が担当しています。
対象者は第1子およびその子どもの養育者で、訪問期間は出生後3〜7カ月の間です。訪問期間や対象は、区によっても異なるため、名古屋市の各区の子ども課窓口などで確認する必要があります。
名古屋市地域子育て支援拠点事業
名古屋市地域子育て支援拠点事業とは、3歳未満の子どもとその保護者、または妊婦の方が気軽に交流できる「親子の遊び場」を提供する事業です。材料費などの実費が発生する場合を除き、基本的には無料で利用できます。
各拠点には絵本やおもちゃがそろっており、子どもの遊び場として活用できます。保護者同士も交流でき、子育ての専門スタッフに相談もできるため、悩みやストレスの解消にも役立てられるでしょう。
また、地域の子育てに関する情報提供や、子育てに役立つ講習会も実施されています。
2024年3月時点での、名古屋市の地域子育て支援拠点をいくつかご紹介します。
拠点の名称 | 実施区 | 運営団体 |
おててのいえ | 名古屋市千種区 | (一社)おかわりの会 |
いずみ | 名古屋市東区 | (福)中日会 |
遊モア あじま | 名古屋市北区 | (NPO)子育て支援のNPOまめっこ |
なっちゃん | 名古屋市西区 | (福)誠心愛育会 |
おやこのおうち | 名古屋市中村区 | (NPO)ひだまりの丘 |
つながるひろば 恵方の家 | 名古屋市昭和区 | (福)池内福祉会 |
どるふぃんくらぶ瑞穂ヶ丘 | 名古屋市瑞穂区 | (NPO)みなと子育て いるかねっと |
えがお | 名古屋市熱田区 | (福)熱田福祉会 |
おひさまのおうち | 名古屋市中川区 | (NPO)ひだまりの丘 |
おうす | 名古屋市港区 | (学)松若学園 |
子育てサポート室 | 名古屋市南区 | (NPO)たけの子 |
きらきらスカイ | 名古屋市守山区 | (福)中日会 |
おひさまわらばぁ~ | 名古屋市緑区 | (NPO)かんばす |
こころん | 名古屋市名東区 | (一社)ブレス |
きゃら | 名古屋市天白区 | (一財)こども財団 |
出典:名古屋市地域子育て支援拠点(2024年3月時点)
詳しく知りたい方は、名古屋市のホームページをご覧ください。
児童遊園地・どんぐりひろば
名古屋市に子育てのための遊び・集いの場として設置されているのが、児童遊園地やどんぐりひろばです。いずれも都市公園法に定められた「公園」とは異なり、名古屋市独自の「遊び場」事業として、行政(子ども青少年局)と地域住民が協同で運営しています。
設置の条件として、敷地面積や危険性のない場所に遊具を設置するなど、詳細に決められています。安全に配慮された遊び場として、子どもと一緒に訪れる保護者が多く見られます。
出典:名古屋市:遊び・集い
ひとり親家庭手当・愛知県遺児手当
ひとり親家庭手当・愛知県遺児手当は、児童養育中のひとり親家庭または両親がいない家庭向けに、手当を支給する制度です。
手当の支給には所得制限が適用されます。前年の所得から適用できる各種控除額を引いた額が、扶養親族の数によって定められた限度額未満の場合に、手当が支給される仕組みです。
児童1人あたりの手当月額は、以下の通りです。
支給開始月から | (全部支給) | ひとり親家庭手当(一部支給) | ひとり親家庭手当愛知県遺児手当 |
1年目 | 9,000円 | 4,500円 | 4,350円 |
2年目 | 4,500円 | 3,000円 | 4,350円 |
3年目 | 3,000円 | 3,000円 | 4,350円 |
4年目 | − | − | 2,175円 |
5年目 | ー | − | 2,175円 |
支給期間は、ひとり親家庭手当が3年間、愛知県遺児手当が5年間です。なお、ひとり親家庭手当・愛知県遺児手当は同時受給が可能です。
名古屋市で子育てする際に確認したいこと
名古屋市で子育てをする際は、以下の点を確認しましょう。
- 引っ越しを検討しているエリアの治安を確認する
- 保育施設数や待機児童数を確認する
- 遊び場の充実度を確認する
それぞれ詳しく解説します。
引っ越しを検討しているエリアの治安を確認する
これから名古屋市内への引っ越しを検討している場合、家族が安心して暮らせるように、引っ越し先のエリアの治安に関する情報を確認することが重要です。
愛知県警が公開している犯罪件数や交通事故の統計データを参考に、名古屋市内の各エリアの安全状況を比較してみるものおすすめです。
また、お子様の安全な通学路の確保も大切です。各エリアの交通事故の状況を確認し、お子様が安全に学校まで通えるかどうかを事前に確認しましょう。
なお、名古屋市内で住んではいけない地域や、おすすめの地域について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
名古屋で住んではいけない地域とは?治安が悪い地域や駅はどこ?
保育施設数や待機児童数を確認する
暮らしやすい街でも、保育施設が自宅から離れていると、子どもの送り迎えなどに時間や手間がかかるものです。そのため、住む場所を絞り込んだうえで、その地域の保育施設数も確認しておくと良いでしょう。
保育施設には、認可保育所や学童保育、民間の託児所などさまざまな選択肢があります。自治体が子育て支援制度として提供している施設もあるため、あわせて確認することがポイントです。
また、待機児童数を確認することも重要です。待機児童数によって、地域の保育施設の充実度や不足している現状などがわかります。
名古屋市では、保育施設が充実しており、2014年から2022年までの8年間連続で待機児童数ゼロを達成しています。特に、必要な地域への保育所等への整備に積極的に取り組んでおり、2022年度には保育所の親切などにより利用枠を744人分増やしました。
また、保育案内人を全区役所・支所に2名ずつ配置し、保護者へのきめ細やかな対応を行っています。
出典:名古屋市:保育所等利用待機児童数(NAGOYAライフ)
遊び場の充実度を確認する
子育てをする際に大切なのが、子どもの遊び場の充実度です。自宅の近くに公園やレジャースポットが多い方が、子どもを育てやすい環境と考えられるため、引っ越しの前に確認しましょう。
遊び場が豊富にあることで、子どもだけでなく保護者同士のコミュニケ―ションにもつながるため、友好関係を深めるうえでも効果的です。
また、子どもの成長にあわせ体力や運動能力の向上や社会性を育んでいくためにも、プールや映画館、水族館などの施設が近くにあるかもあわせて確認しておくこともおすすめです。
まとめ:名古屋市に引っ越して子育て支援制度を活用しよう
名古屋市は子育て支援制度が充実しており、支援金や保育の無償化などの制度を活用することで、子育て世帯の負担を軽減できます。多くの子育て支援拠点が整備されているため、子どもの遊び場として利用するほか、保護者同士の交流の場所としても活用できます。
名古屋市内で子育てを考えている方は、引っ越し先の治安や保育施設数、遊び場の充実度といった特徴を事前に確認しておくと良いでしょう。本記事でご紹介した子育て支援制度を参考に、有効に活用していただけると幸いです。