住宅の購入やリフォームを検討している方の中には、費用を抑えるために国や自治体が提供している補助金制度について知りたい方も多いでしょう。住宅購入は高額な費用がかかるため、利用できる補助金があれば、ぜひ利用したいものです。
本記事では、2024年に実施される(予定を含む)補助金制度や、これまでに実施されたものについて解説していきます。どのような補助金制度があり、誰が対象で、どのくらい利用できるのか確認していきましょう。
また、補助金制度を利用する際の注意点やポイントについても詳しくご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
【2024年版】住宅購入・リフォームの補助金制度一覧
住宅を購入する際やリフォームする際に利用できる補助金をご紹介します。2024年に実施される補助金制度、または2024年も継続されているものについて確認していきましょう。
子育てエコホーム支援事業(住宅省エネ2024キャンペーン)
「子育てエコホーム支援事業」は、子育て世帯や若者夫婦世帯向けに補助金を支給する事業です。この事業は、2050年のカーボンニュートラルの実現を目的とし、省エネ性能の高い新築住宅の取得や省エネ住宅への改修を支援します。
対象となる「子育て世帯」は、申請時点で18歳未満の子ども(2005年4月2日以降に生まれた子ども)がいる世帯です(工事着手が2024年3月末までの場合は、2022年4月1日時点で18歳未満)。
「若者夫婦世帯」とは、申請時点で夫婦であり、2023年4月1日時点で夫か妻のいずれかが39歳以下の世帯を指します(工事着手が2024年3月末までの場合は、2022年4月1日時点でどちらが39歳以下)。
子育てエコホーム支援事業の概要は次の通りです。
補助対象 | ・注文住宅の新築:長期優良住宅またはZEH住宅を新築する場合 ・新築分譲住宅の購入:長期優良住宅またはZEH住宅を購入する場合 ・リフォーム:既存住宅を購入後リフォームした場合。改築等により長期優良住宅の認定を受けた場合 |
補助額上限 | ・新築(注文・分譲):長期優良住宅100万円/戸、ZEH住宅80万円/戸 ・リフォーム:最大60万円/戸 |
登録事業者 | あらかじめ事務局に事業者登録したもの ※株式会社AVANTIAほか |
補助金の還元方法 | 以下のうちいずれか ・補助事業に係る契約代金(最終支払に限る)に充当 ・現金支払い |
対象期間 | 2024年4月2日~予算上限に達するまで(2024年12月31日まで) |
住宅省エネ2024キャンペーンとは?4事業の特徴や利用時の注意点を解説
先進的窓リノベ2024事業(住宅省エネ2024キャンペーン)
「先進的窓リノベ2024事業」は、健康で快適な暮らしの実現や、家庭からのCO2排出削減に貢献するため、断熱窓への改修を促し、既存住宅の省エネ化を推進する事業です。
この事業では、窓のガラス交換や内窓の設置、外窓の交換、ドアの交換などの対象工事によって、一戸あたり5万円から最大200万円までの補助金が支給されます。
なお、「住宅」とは、人が居住するための家屋を指します。不動産登記や固定資産税において住宅以外に分類される建物や、住宅に分類されていても店舗や施設など住宅以外に使用されているものは対象外です。
先進的窓リノベ2024事業についての概要は次の通りです。
補助対象 | ガラス交換、内窓設置、外窓交換、ドア交換(窓の工事と同一の契約の場合) |
補助額上限 | 200万円 |
登録事業者 | あらかじめ事務局に事業者登録したもの ※株式会社AVANTIAほか |
補助金の還元方法 | 以下のうちいずれか ・補助事業に係る契約代金に充当 ・現金支払い |
対象期間 | 2024年3月29日~予算上限に達するまで(2024年12月31日まで) |
名古屋市の断熱窓改修補助金と併用可能
名古屋市では、市独自の補助金制度として「断熱窓改修補助金」を提供しています。この補助金は、既存の住宅の窓を断熱性能の高い窓に改修する際に利用でき、「先進的窓リノベ2024事業」との併用することが可能です。
これらの補助金を併用することで、窓の断熱リフォームにかかる費用を大幅に軽減できます。ただし、補助金ごとに対象となる工事の範囲が決まっているため、申請前に詳細を確認することが重要です。
また、名古屋市の補助金は予算が超過した時点で受付が終了しますので、早めに申請することをお勧めします。
給湯省エネ2024事業(住宅省エネ2024キャンペーン)
「給湯省エネ2024事業」は、家庭内の給湯領域において高効率給湯器の導入をサポートするための事業です。この事業は「2030年度におけるエネルギー需給の見通し」を達成することを目的としています。
「給湯省エネ2024事業」は、家庭内の給湯領域において高効率給湯器の導入をサポートするための事業です。この事業は「2030年度におけるエネルギー需給の見通し」を達成することを目的としています。
高効率給湯器を設置する世帯に対して補助金が支給されるもので、戸建や共同住宅、新築注文住宅や新築分譲住宅など住宅の種別を問いません。
本事業に申請する際には、共同事業実施規約(補助金の交付を円滑に受け取るために、事業者と消費者との間で取り交わす取り決め)に基づき、「J-クレジット制度」(2013年度以降の国内における温室効果ガス排出削減・吸収量認証制度)に参加する意思を表明する必要があります。
給湯省エネ2024事業の概要は以下の通りです。
補助対象 | ・ヒートポンプ給湯器(エコキュート) ・電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリッド給湯機) ・家庭用燃料電池(エネファーム) |
補助額上限 | ・ヒートポンプ給湯器(エコキュート):最大13万円/台 ・電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリッド給湯機):最大15万円/台 ・家庭用燃料電池(エネファーム):最大20万円/台 ※戸建ての場合はいずれか2台まで、撤去加算額:5万または10万円/台 |
登録事業者 | あらかじめ事務局に事業者登録したもの ※株式会社AVANTIAほか |
補助金の還元方法 | 以下のうちいずれか ・補助事業に係る契約代金に充当 ・現金支払い |
対象期間 | 2024年3月29日~遅くとも2024年12月31日 |
ZEH補助金
「ZEH補助金」は、ZEH(ZEH+)となる戸建住宅を新たに建築する、または新築建売住宅を購入する方を対象とした事業で、補助額は一戸あたり55〜100万円とされています。
「ZEH」とは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略で、「省エネ(使用するエネルギーを削減すること)」と「創エネ(エネルギーを創り出すこと)」によって、実質的にエネルギー収支がゼロになることを目標とする住宅です。
「ZEH補助金」には、「戸建住宅ZEH化等支援事業」と「集合住宅の省CO2化促進事業」の2種類がありますが、住宅を新たに購入する世帯向けの制度は「戸建住宅ZEH化等支援事業」に該当します。
当事業の概要については以下の通りです。
補助対象 | 対象となる住宅 ・ZEH、Nearly ZEH、ZEH Oriented ・ZEH+、Nearly ZEH+ |
補助額上限 | ・ZEH:55万円/戸(+α) ・ZEH+:100万円/戸(+α) |
登録事業者 | 「2025年度の自社ZEH受注目標50%以上(又は75%以上)」を掲げるハウスメーカー、工務店、建築設計事務所、建売住宅販売事業者など |
補助金の還元方法 | 補助金の額が確定後、補助事業者からSII(一般社団法人 環境共創イニシアチブ)への申請を経て、所定の手続きに基づき補助金が交付されます。 ※交付時期や手続き、還元方法などは、補助事業者によって異なる場合があるため、申請時に確認が必要です。 |
対象期間 | 2024年4月3日~2024年12月23日 |
ZEH(ゼッチ)とは?メリットやデメリット、購入時のポイントを解説
そのほかの補助金制度
国が提供している補助金制度は前述したもの以外にも多数あります。
そのほかの補助金制度を、過去に実施されたものも含めてご紹介します。
制度名 | 実施年度 | 概要 |
長期優良住宅化リフォーム推進事業 | 2024年度 | 高性能リフォームや三世代同居等の複数世帯の同居のためのリフォームなどに対し補助(条件により上乗せあり) |
LCCM住宅整備推進事業 | 2024年度 | 条件を満たしたLCCM住宅を新築した際に、以下の費用の合計額の2分の1を補助 ・設計費 ・建設工事等における補助対象工事の掛かり増し費用 |
こどもエコすまい支援事業 | 2023年度で受付停止 | ・⼦育て世帯や若者夫婦世帯向け ・注文住宅の新築、新築分譲住宅の購入の際に補助 ・リフォームの際、対象工事や発注者属性に応じて補助 |
こどもみらい住宅支援事業 | 2022年度で受付停止 | ・⼦育て世帯や若者夫婦世帯向け ・注文住宅の新築、新築分譲住宅の購入の際、省エネ性能に応じて補助 ・リフォームの際、対象工事や発注者属性に応じて補助 |
なお、2023年度に実施されたものは、名称変更されて2024年に類似の補助金として継続されているものもあります。選択肢のひとつとして念頭においておくと良いでしょう。
地方自治体の補助金・助成金制度
国だけでなく、地方自治体でも補助金や助成金制度を設けているところがあります。いくつかの都道府県を例として挙げ、主な制度について解説していきます。
東京都
東京都が行っている補助金・助成金制度には、以下のようなものがあります。
制度名 | 概要 |
東京ゼロエミ住宅認証制度及び東京ゼロエミ住宅導入促進事業 | ・都内独自の「東京ゼロエミ住宅」を建築する場合に適用 ・都内の新築住宅等で床面積合計2,000㎡未満が対象 ・補助金額は以下の通り。 令和6年9月30日まで:30~210万円/戸 令和6年10月1日から:40~240万円/戸 |
充電設備導入促進事業 | ・戸建住宅等にEV・PHEV用充電設備を設置する方に対し、経費の一部を助成 ・マンションへの設置に係るアドバイザー派遣制度あり(令和6年度の事業概要は未掲載) |
東京都個人住宅利子補給助成制度 | ・木造住宅の密集地域で、木造住宅から耐火・準耐火住宅に建て替える方が対象 ・必要な資金の融資元として金融機関を紹介し、当該金融機関が都の利子補給を受けて長期低利の融資をする ・負担利率の1%相当の利息を10年間補助 |
水素を活用したスマートエネルギー エリア形成推進事業(家庭部門) | ・家庭用燃料電池(エネファーム)の設置にかかる費用を助成 ・助成額は対象機器費の5分の1で7~10万円/戸 (※一般申請・事前申請・特例申請・共同申請の受付は終了しています。) |
千葉県
千葉県が行っている補助金制度には、以下のようなものがあります。
補助金制度の詳細は、千葉県のホームページにある「再生可能エネルギー・省エネルギー設備の支援情報(住宅用)」をご確認ください。
制度名 | 概要 |
千葉県住宅用設備等脱炭素化促進事業補助金 | ・特定の住宅設備導入に対する補助事業を行う市町村に対し、県が補助金を交付 ・申請窓口は、補助事業を実施している各市町村となるため、補助要件等の詳細は各市町村へ確認が必要です。 |
大阪府
大阪府では、「住宅建築物耐震10ヵ年戦略・大阪」に規定されている耐震診断義務付け対象路線に接している通行障害建築物を対象とした補助金制度がありますが、一般の方に対しては、市町村が窓口となっていることが多いです。
以下に、市町村が提供している補助金・助成金制度の例として、大阪市、堺市、高槻市の取り組みをご紹介します。
制度名 | 概要 |
令和6年度 大阪市新婚・子育て世帯向け 分譲住宅購入融資利子補給制度 | ・初めて住宅を取得する新婚世帯 ・子育て世帯における住宅ローン利子の一部を補助 ・新婚世帯はともに40歳未満、子育て世帯は小学6年生以下の子どもがいることが条件 ・前年の所得1,200万円以下 ・補助額は最大50万円(年間最大10万円×最長5年間) |
愛知県
愛知県でもさまざまな補助金・助成金制度が設けられています。その中の一部をご紹介します。
制度名 | 概要 |
愛知県住宅用地球温暖化対策設備導入促進費補助金 | ・太陽光発電施設、家庭用エネルギー管理システム(HEMS)などの住宅用地球温暖化対策設備を導入する際の費用の一部を補助 ・申請や交付は市町村が行うため、詳細は該当する市町村に確認する |
住宅・建築物の耐震診断・耐震改修事業 | ・耐震診断(無料)の結果、耐震指標が1.0未満の木造住宅が、1.0以上になるよう耐震改修工事をする際に、市町村が最大100万円を補助 ・耐震診断1.0未満の木造住宅の除却費用を補助する市町村もある ※旧基準で建てられた木造住宅が対象 |
福岡県
福岡県が提供している補助金・助成金制度のうち、主なものを以下にご紹介します。
制度名 | 概要 |
福岡県こどもリノベ補助金 | ・若年世帯や子育て世帯が購入した既存住宅や、若年世帯や子育て世帯が同居する親世帯の持家を子育てしやすくリノベーションする工事をした際に、費用の一部を補助・若年世帯は夫婦の合計年齢が80歳以下、子育て世帯は18歳未満の子どもがいるか妊娠していることが条件 ・補助金額は費用の3分の1で上限50万円 |
住宅購入の補助金制度を利用する際の注意点
住宅購入における補助金制度を利用する際には、いくつか気を付けたい点があります。場合によっては、補助金を受け取れなくなる可能性もあるため、あらかじめ確認しておきましょう。
早期締め切りになる可能性がある
住宅取得に関する補助金は、一般的に1年度における予算が決まっており、申し込みが予算の上限に達すると早期打ち切りになる可能性があります。申込期限があらかじめ決められている補助金でも、予算に達した時点で締め切られる場合が多いです。
特に、若年世帯や子育て世帯への支援は利用者が多く、期日よりも早い段階で締め切られる傾向があります。また、住宅取得における補助金では、補助金申請の手続きを認定事業者が行うケースが多いため、事業者の選定に時間がかかる可能性もあります。
利用したい補助金制度がある場合は、申請スケジュールを確認のうえ、早い段階で準備を行うことが大切です。
補助金は施工完了後に支給される
補助金は、住宅や設備の施工終了後に支給されるのが一般的です。そのため、施工会社には前もって全額を支払わなければならず、補助金を受け取った後での支払いができない点に注意が必要です。
補助金制度は、住宅の購入費や改修費を抑えるのに役立ちますが、余裕のある予算を組むことが重要です。また、支給時に認定事業者による申請費用などが差し引かれる場合もあるため、申請から支給までの流れや支給方法についてもよく確認しておきましょう。
提出書類や事後処理に不備があると補助金が受け取れない可能性がある
補助金事業が終了した後、決められた期間内に報告書や支払証憑書類などをそろえて提出することが決められています。提出書類に不備があると、支払いが遅れたり拒否されたりする可能性があります。
住宅取得に関する補助金の多くは、認定事業者が書類一式を用意してくれますが、自分で用意しなければならない書類も存在するため、速やかにもれなく準備しましょう。
また、必要書類を期限内に提出できるよう、申請から支給までの流れはもちろん、事後処理も踏まえて適切なスケジュールを組むことが大切です。
まとめ:補助金制度を最大限に活用して住宅購入時のコストを抑えよう
住宅購入やリフォームする際には、国や自治体が提供している補助金・助成金制度を利用することで費用を抑えることが可能です。2024年度に実施される制度だけでなく、これから設立されるものも見込まれるため、国や自治体からの情報を随時確認しましょう。
住宅購入の補助金を利用する際には、補助金の振込タイミングや書類の提出期限など注意すべき点があります。正しく補助金を受け取れるよう、申請の流れなどについてしっかりと確認して準備を進めましょう。