新築住宅を購入する際、快適な暮らしを実現するために収納計画は欠かせません。
十分な収納スペースを確保することで、スッキリとした生活空間を維持できます。逆に、収納が不足すると、物があふれかえり、暮らしにくさを感じてしまうことも。
この記事では、収納計画を成功させるための手順やポイント、具体的な収納アイデアをご紹介します。これから家づくりを始める方は、ぜひ参考にしてください。
新築住宅の収納スペースはどのくらい必要?
新築の家を建てる時、収納スペースをどれくらい作ればいいか、迷う方も多いでしょう。
ポイントは、家の広さに合わせた収納を作ることです。おおよそ、家の広さの12~15%くらいを収納スペースにすると、ちょうどいいと言われています。
たとえば、家の広さが100㎡(約30坪)なら、収納スペースは9~12畳くらい必要です。
以下は、9〜12畳の収納スペースを確保する場合の具体例です。
収納スペース | 広さ(目安) |
---|---|
シューズクローゼット | 1.5~2畳 |
パントリー | 0.5畳~ |
納戸 | 2畳 |
洋室のクローゼット | 3畳 |
和室の押入 | 1畳 |
物入 | 1畳~ |
合計 | 9畳~ |
これらを全て合わせると、だいたい9~12畳になります。
荷物が多く、収納スペースが不足するようであれば、さらに余裕を持って計画しておきましょう。逆に、荷物が少なく収納スペースが余るようであれば、少し削減して、他の用途に活用できるでしょう。
必要な収納スペースは、人によって異なるため、あらかじめ綿密な収納計画を立てておくことが重要です。
新築住宅における収納計画の立て方
ここでは、新築住宅における収納計画の立て方を、以下の4つのステップで解説します。
- 現在の収納状態を把握する
- 不要な物を処分する
- 新生活後に増える物を予測する
- 新築住宅に必要な収納スペースを割り出す
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 現在の収納状態を把握する
まずは、現在お住まいの家にある物の量を把握しましょう。この際、荷物リストを作成することで、必要なものと不要なものを明確に区別することができます。また、リストを作成する際には、「クローゼット」や「パントリー」など、現在の収納場所も併せて記載することで、新居における収納計画の基礎とすることができます。
特に、以下の項目は収納スペースに大きく影響するため、正確な数量を把握するようにしましょう。
- 家具:ソファ、テーブル、ベッドなど
- 家電:冷蔵庫、洗濯機、テレビなど
- 洋服:普段着、仕事着、季節ごとの服など
- 本:雑誌、漫画、小説など
- 小物:おもちゃ、趣味のグッズ、雑貨など
2. 不要な物を処分する
現在お住まいの住宅にある荷物を一つひとつ確認し、リストを作成した後、「必要なもの」と「不要なもの」に分類していきましょう。衣類や靴などは、実際に着用してみることで、その必要性をより明確に判断できます。
もし、必要か不要か判断に迷う荷物があれば、一旦「保留」として保管しておくことをお勧めします。一般的に、1分以内に必要かどうかを判断できないものは保留にしておくことが、断捨離の基本とされています。高価な品物については、専門家による査定を受けてから判断することも有効な手段です。
「不要」と判断したものは、この段階で思い切って処分しましょう。これにより、新居に持ち込む荷物の量が減り、収納スペースをより効率的に活用することができます。
3. 新生活後に増える物を予測する
不要な物を整理した後は、新築住宅での新たな生活を想像し、将来増加する可能性のある物を予測しましょう。
ご結婚されている、または結婚のご予定がある場合は、お子様の成長に伴う持ち物の増加を考慮することも大切です。たとえば、お子様が就学前の場合は、すぐに持ち物が大幅に増える心配はありませんが、中学や高校に進学すると、教科書や部活動の道具など、持ち物の量は徐々に増加していく傾向があります。
一方、お子様が独立されると、収納スペースに余裕が生まれるケースも考えられます。したがって、出産、お子様の就学、そして自立など、ライフスタイルの変化を見据えながら、将来を見通した収納計画を立てることが重要です。
4. 新築住宅に必要な収納スペースを割り出す
不要な物を整理し、将来的な持ち物の増加を予測することで、新居に必要な収納スペースを具体的に算出することができます。注文住宅をご検討の場合、住宅全体の間取りとのバランスを考慮することが重要です。間取りの検討と並行して、収納設備の配置や、各収納スペースにどの程度の荷物を収納するのかといった詳細についても計画を進めていきましょう。
新築住宅の収納計画を立てる際のポイント
新築住宅の収納計画を立てる際は、以下のポイントを押さえることで、より効果的な収納スペースを実現できます。
- 家族の動線を意識して計画を立てる
- 使用機会は少ないが大切な物は収納スペースを分ける
- 棚は細かく区切らないこと
- さまざまな事例を参考にする
それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
家族の動線を意識して計画を立てる
家族の生活動線上に収納スペースを配置することで、収納したい時にすぐに収納できるため、利便性が向上します。そのため、家族の生活動線を意識した収納計画を立てるようにしましょう。
たとえば、玄関とリビングを直接行き来できる間取りの場合、どちらも頻繁に利用するスペースであるため、どちらかに大型収納を設置すると非常に便利です。
家事動線が良い間取りについて詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事もご覧ください。
“家事楽”間取りのアイデア7選!|動線設計のコツも解説
使用機会は少ないが大切な物は収納スペースを分ける
必要なものと不要なものを分ける際、人からもらった贈り物や思い出の品などは、使用頻度が低くても、簡単に手放せないものです。
そのような物は無理に処分せず、「使用機会は少ないが大切な物」として、新居に専用の収納スペースを設けることをお勧めします。
使用頻度の高い物は生活動線上の収納スペースに、使用頻度の低い物は生活動線から離れた場所に保管することで、生活の利便性を損なうことなく効率的な収納を実現できます。
棚は細かく区切らないこと
注文住宅では、収納スペースを自由に設計できる点が魅力ですが、「タオル収納はここ」「お気に入りの雑貨類はこっち」などと細かく計画しすぎると、かえって使い勝手が悪くなる可能性があります。
収納する物に合わせてジャストサイズの収納スペースを作ってしまうと、将来、収納したい物が変わった際に対応できなくなるケースがあるためです。
ライフスタイルの変化に伴い、収納計画も変化することを考慮し、棚板やハンガーパイプなどは、ある程度柔軟性を持たせたプランを立てることをお勧めします。
また、固定棚ではなく可動棚を効果的に活用することで、収納スペースの汎用性を高めることも可能です。
さまざまな事例を参考にする
初めて新築住宅を購入される場合、収納スペースの細部まで具体的にイメージすることは難しいかもしれません。そのような場合は、収納アイデアなどの実例を参考にすることをお勧めします。
たとえば、棚一つを取っても、実際の使い方や配置などを参考にすることで、ご自身の生活に合わせたイメージが湧きやすくなるでしょう。ただし、子育てのスタイル、趣味、仕事など、さまざまな要素によって適切な収納スペースは人それぞれ異なります。そのため、アイデア実例はあくまで参考程度にとどめ、そのまま真似をするのではなく、ご自身のライフスタイルに合わせてカスタマイズすることが重要です。
新築住宅における収納アイデア実例
新築住宅の収納計画を立てる際には、具体的な収納アイデアを参考にすることで、より具体的にイメージしやすくなります。
ここでは、実際の新築住宅で採用されている収納アイデアの実例を、収納スペースごとにご紹介します。
- ウォークインクローゼット
- シューズインクローク
- パントリー
- 洗面所の収納スペース
- トイレの収納スペース
- 廊下の収納スペース
それぞれ詳しく解説します。
ウォークインクローゼット
ウォークインクローゼットは、広々とした空間を活用して、衣類や小物を豊富に収納できる人気の高い収納スペースです。
収納の際には、使用頻度に応じて収納場所を決定することがポイントです。頻繁に使用する衣類は取り出しやすい位置に、季節外の衣類など、使用頻度の低い衣類は上部や奥に収納するなど、工夫することで、整理整頓された状態を維持しやすくなります。
ウォークインクローゼットを設置することで、衣替えなどの衣類管理が容易になり、寝室や子ども部屋の空間をスッキリと保つことができます。新築住宅において、特に採用されるケースが多い収納スペースと言えるでしょう。
シューズインクローク
シューズクロークは、玄関に設けられた収納スペースです。棚を効率的に配置することで、多数の靴を整理整頓して収納することができます。
収納の際には、頻繁に履く靴は取り出しやすい位置に、履く頻度が低い靴は上部や奥に収納すると良いでしょう。また、シューズクローク内に除湿剤や消臭剤を配置することで、靴を清潔に保ち、長持ちさせることにもつながります。
さらに、玄関からの視線が気になる場合は、シューズクロークに扉やロールスクリーンなどを設置することで、プライバシーを確保し、スッキリとした印象を与えることができます。
パントリー
パントリーは、食品や調理器具を収納するための専用の収納スペースです。棚やかごを効率的に配置することで、多様な食材や調理器具を整理整頓して収納することができます。
パントリーを設置することで、キッチンを常にスッキリとした状態に保ちやすくなります。また、まとめ買いした食材の保管場所としても最適であり、パントリーがあれば日々の調理がよりスムーズに行えるでしょう。
洗面所の収納スペース
洗面所の収納スペースは、日常的に使用する洗面用具やタオルを収納するのに最適な場所です。収納ボックスや可動棚などを効果的に組み合わせることで、使いやすさと収納力を両立させることができます。
特に、洗面所の収納スペースは、湿気やカビが発生しやすい環境であるため、通気性を考慮した計画が重要です。たとえば、扉のないオープン棚にボックスやバスケットを活用して収納することで、湿気がこもりにくくなり、どこに何があるのかを視覚的に把握しやすくなります。
トイレの収納スペース
トイレの収納スペースは、トイレットペーパーや掃除用具など、トイレ空間で必要なものを収納するのに適しています。必要な時にすぐ取り出せるため、利便性が向上します。
また、壁面に収納を設けることで、限られたスペースを有効活用することが可能です。トイレの収納スペースに扉や目隠しを設置すれば、生活感を隠して、見た目もスッキリとさせることができます。
廊下の収納スペース
廊下に収納スペースを設けることで、デッドスペースを有効に活用できます。壁面に沿って棚を設置することで、書籍や雑貨、書類など、さまざまな物を収納することができます。
また、廊下の収納スペースは、生活動線上にあるため、掃除機や日用品のストックなど、頻繁に使用する物を収納する計画も有効です。さらに、季節家電や防災用品など、日常的には使用しない物を収納することで、他の部屋の収納スペースに余裕を持たせることができます。
まとめ:綿密な計画を立てて新築住宅の収納を考えよう
新築住宅における収納スペースは、快適な暮らしを実現する上で非常に重要な要素です。一般的には、床面積全体の12~15%を収納スペースとして確保することが目安となります。
現在の持ち物の量を把握し、不要な物を整理した上で、将来必要となる物を考慮することで、新居に必要な収納スペースを具体的に算出することができます。さらに、家族の動線を意識し、使用頻度に応じて収納場所を計画することで、収納の利便性を高めることができます。
ウォークインクローゼットやパントリーなど、さまざまな収納アイデアの実例を参考にしながら、ご自身やご家族のライフスタイルに最適な収納計画を立てて、快適な新生活をスタートさせましょう。