外構照明は、自宅の防犯性・安全性を上げるとともに、家の雰囲気を作る個性の一つでもあります。デザインだけでなく明るさや種類ごとの性質もさまざまにあるため、いざ工事をするとなると、どうすればおしゃれにできるか迷ってしまうかもしれません。
外構照明をおしゃれに見せるには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。失敗を防ぐためにも、あらかじめ外構照明の効果的な見せ方について理解しておきましょう。
本記事では、外構照明をおしゃれにするコツと設置場所別のデザイン事例を紹介します。
外構照明をおしゃれに見せるためのコツ
外構照明をおしゃれに設置したいとき、意識すべきポイントは主に以下の6つです。
- 照度
- 立体感
- 陰影
- 照明の性質
- デザインイメージ
- ライティング
それぞれ詳しく解説していきます。
1. 光害にならない照度を意識する
外構照明が極端に明るいと、近隣の住民や家の前を通る人にとって光害となる可能性もあります。明るければ良いというものでもないため、まぶしくなりすぎないよう照度には十分に注意しましょう。
表札や足元が見えやすい適度な明るさは保ちつつ、家の周りを優しく照らす程度の光の強さとなるのが理想的です。スポットライトなど照度の高い照明を設置する場合、壁や植栽などを照らすことで明るさを調節できます。
適度な照度に抑えると、屋外から家の中に差し込む光もほど良く、落ち着いた空間になる点がメリットです。
2. 植栽で立体的なライトアップを表現する
植栽を上手に活用することで、外構照明によるライトアップに立体感が生まれます。
家のシンボルとなるような庭木や外壁近くに花壇がある場合、それらに向けて照明を当ててみてください。外壁に植栽の影が映り、昼間とは印象の違った自然の造形美を演出できます。
後述する照明の種類やライティングテクニックと植栽の組み合わせ次第で、住まいを華やかに見せたり、幻想的な雰囲気を作り出したりと可能性が広がるでしょう。植栽だけでなく、水や石などのオブジェクトを照らすことで、陰影・質感を引き立てるテクニックもあります。
3. 素材の陰影を際立たせる
外壁などの素材にこだわりがある場合、素材を際立たせるように照明を当てるのも一案です。
石材を使用した外壁やうねりが特徴的なタイルは、上部または下部から光を当てると、素材の凹凸が印象的に浮き上がります。立体的な表札を照明で照らし、陰影を楽しむのも良いでしょう。
外壁の素材にはさまざまな種類があり、質感やデザインによって光が当たったときの印象も異なります。外壁の素材ごとの特徴や目的に合わせた選び方については、以下の記事をご覧ください。
4. 照明の種類ごとの性質を理解する
外構照明には幅広い種類があります。照射角度や照度、効果的な設置場所などが異なるため、それぞれの性質を理解して使い分けることが大切です。
外構照明として多く採用されているものには、以下の5種類が挙げられます。
種類 | 性質 |
ポールライト | ・柱状のライト ・玄関までのアプローチに利用されることが多い |
アップライト | ・照度が高く照度角度を調整できるライト ・シンボルツリーなど目立たせたい場所に設置する |
グランドライト | ・地面に埋め込むタイプのライト ・光を上に向けて照らすのに適している |
スポットライト | ・高い位置に設置するライト ・広い範囲を明るく照らすのに役立つ |
ウォールライト | ・柔らかい光を出す壁面設置型のライト ・植物との相性が良い |
5. デザインイメージを統一して照明器具を選ぶ
外構照明のおしゃれな設置を考えるときには、全体的なデザインイメージの統一感を意識する必要があります。
例えば、モダンな雰囲気が魅力的な住宅に対しては、照明も同様にモダンなデザインのものを選ぶのがベターです。配置についても、等間隔に置くか、ランダム性を感じるように置くかで印象は変わってきます。あらかじめ軸となるイメージを固めておくと良いでしょう。
デザインと同時に、照明のカラーも印象を左右する重要な要素です。モダンな住宅であれば黒・白・グレーといった無彩色、ナチュラルテイストの住宅ならベージュ・アイボリー・ブラウンなどの淡い色を選ぶと雰囲気にマッチします。
6. 複数のライティングテクニックを組み合わせる
ライティングテクニックを複数組み合わせることで、建物や庭をより魅力的に見せることが可能です。
神秘的な印象を作りたい、落ち着いた雰囲気にしたい、華やかさを出したいなど、目的に合わせたライティングを効果的に取り入れてみましょう。代表的な人気のライティングテクニックと、それぞれの特徴は以下のとおりです。
ライティングの種類特徴 | 特徴 |
アップライティング | ・木の根本から上に向けて光を照らして枝葉を浮かび上がらせる基本テクニック ・葉の密度が低い樹木に向いており、幻想的な印象を与える |
シャドーライティング | ・樹木に下から光を照らすことで影を作り出すテクニック ・密度の少ない樹木に適しており、繊細な葉影模様を壁に映し出せる |
シルエットライティング | ・見せたい物の後ろから光を当てて、シルエットを浮かび上がらせるテクニック ・対象物に対し間接的に照射するため、上記の2つより落ち着いた印象を与える |
クロスライティング | ・1本の樹木に複数の光を当て、どの方向からでも同じ光量で美しく見せるテクニック ・光が強いため華やかな印象を与える |
ムーンライティング | ・樹木の中にライトを設置し、自然な影を作り出すテクニック ・幹の上部から大きな枝に対して照らすとより効果的で、月明かりのような優しい雰囲気を演出する |
ライティングの組み合わせ次第で、マイホームの魅力をさらに引き立たせることが可能です。
【設置場所別】おしゃれな外構照明の事例
ここからは、門回り・アプローチ・庭・駐車場の場所別におしゃれな外構照明の設置事例を紹介します。照明としての機能性は保ちつつ、おしゃれに見せるポイントをチェックしてみましょう。
門回り
門や門柱、または表札回りの照明は、床面設置と壁面設置の2タイプが考えられます。
床面設置の場合は表札の高さを目安に、その3分の1の距離を門から離して照明を配置すると、床と門をバランス良く照らすことが可能です。壁面設置には、夜間でも表札が目立ちやすいメリットがあります。ただし、壁面に直接ウォールライトを取り付けるため、デザインにもこだわるようにしましょう。
また、門のタイプがクローズドかオープンかによってもライトアップ方法は異なります。
クローズドタイプの場合、門の外側と内側に照明を配置することで暗がりを作らず、温かく親しみやすい雰囲気を演出できるのが特徴です。一方のオープンタイプは、表札の照明と玄関までの通路の照明、さらに植栽に当てる照明をリズム良く設置するとメリハリが生まれます。
なお、表札の視認性を上げるためにも、門回りの照明は30ルクス以上の明るさが適切です。デザインや配置へのこだわりはもちろん、光の強さについても考慮しましょう。
アプローチ
アプローチに間接照明を採用することで、おしゃれな雰囲気を演出しつつ、安全性への配慮も可能です。
アプローチには、一般的に石材やタイルといった硬質な素材を利用します。照明の明るさが足りないと、足を滑らせたり凹凸部分につまずいたりする可能性があるでしょう。
アプローチに段差や階段がある場合は、高さがある部分への間接照明の設置が効果的です。立体感や奥行きが出るうえに、足元への注意喚起にもなります。段差ごとに続けて照明を配置すれば、自然と玄関に誘導できる点もメリットです。
また、アプローチの床面に対してアップライトを側面から当て、壁面へ陰影を写すという方法もあります。光の反射で全体的な明るさを出しつつ、玄関までの奥行きも感じられるでしょう。
庭
庭をしっかりライトアップすることで、室内から見たときに奥行きが生まれ、さらに窓ガラスに室内が映り込むミラー現象を防げます。室内の明るさを10とすると、庭に設置する照明は2~4割程度の明るさに抑えることがポイントです。
庭に木がある場合は、複数の方向から均等に照らすクロスライティング、樹木や壁面を下から照らして立体的に演出するバリードライトなどのテクニックが使えます。バリードライトは地面に埋め込むタイプのため、器具が目立たずガーデンイメージを損なうこともありません。
庭に池やプールがある場合は、対岸を明るく照らすことで水面に対岸の景色を映し出すことも可能です。また、池やプール内部の側面に照明を設置し、水自体を照らすことで幻想的な印象を与えられます。同時に、水辺の安全性を高める効果も期待できるでしょう。
駐車場
駐車場の照明には、必要な明るさを確保するとともに、車を魅力的に見せる役割があります。
カーポートがあるタイプの駐車場であれば、ダウンライトをライン状に配置することでショールームのような光の映り込みとなり、おしゃれに車を照らせるでしょう。カーポートがない場合、埋め込み式のグランドライトの設置がおすすめです。
なお、夜間の車庫入れ時などに手元や足元が見えにくくならないよう、照明は車の影を意識して設置しましょう。
上・横などどの方向から照らすにしても、車と車のあいだや車と壁のあいだなど、人の動線となる場所に光を当てるのが望ましいです。車の真上や真後ろのみに照明を配置すると、暗がりができやすくなります。
さらに人感タイプのセンサーライトを設置すれば、侵入者の抑止になり、防犯にも効果的です。安全面も考慮したうえで、適切な照明を配置するようにしましょう。
まとめ:外構照明のポイントを押さえて自宅をおしゃれに演出しよう
おしゃれな家を演出するうえで、外構照明の存在は欠かせません。配灯計画を立てるときには、照度・立体感・陰影・照明の性質・デザインイメージ・ライティングの6つを意識することが大切です。
また、門回りやアプローチ、庭、駐車場など設置場所によっても適切なライティング方法は異なります。施工時にこだわったポイントをより魅力的に見せるためにも、照明の持つ効果を最大限活用してみましょう。
家の外観をおしゃれに見せるためのコツは、以下の記事でも詳しく解説しています。エクステリアが気になっている方、マイホームの印象を変えたい方は参考にしてみてください。