住宅ローンが月々10万円だときつい?共働き世帯の手取り年収別に解説!

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戸建てやマンションの購入を検討するうえで、住宅ローンの返済額をいくらに設定すればよいのか悩む人は多いでしょう。

「月々10万円」はひとつの目安になりますが、果たしてこの金額はローン返済者にとって安いのでしょうか、それとも高いのでしょうか?

この記事では、住宅ローンが月々10万円はきつい?共働き世帯の手取り年収別で、住宅ローンを月々10万円ずつ返済した場合について解説します。きついと感じる理由・対策もあわせてご紹介しますので是非参考にしてください。

目次

住宅ローンが月々10万円だときつい理由

何も考えずに住宅ローンの返済額を決めてしまうと、将来の家計を圧迫しかねません。住宅ローンを月々10万円に設定した時に、「きつい」と感じてしまう原因について、次の5つのポイントから解説します。

1. 住宅ローン以外の費用が家計を圧迫してしまうため
2. 生活や収入の変化に対応しづらいため
3. 金利変動の影響を受けやすいため
4. 高齢になると完済するのが難しくなるため
5. 災害による影響が大きいため

1. 住宅ローン以外の費用が家計を圧迫してしまうため

見落としがちなポイントですが、住宅を購入する際は、ローン以外にも次のような費用がかかります。

▼住宅ローン以外に発生する費用
仲介手数料住宅ローンの手数料登記依頼料
免許税不動産取得費固定資産税
都市計画税手付金火災
地震保険料引越しの関連費用
家具・家電の購入費

仮に住宅ローンの返済額を毎月10万円とした場合、月々の住宅ローンの返済に加えて、上のような費用の返済額も上乗せされます。費用の総額を正確に把握していないと、無理な返済計画を立ててしまうことになりかねません。

住宅の購入を検討する際は、必要な費用をすべて把握したうえで月々の返済額をシミュレーションしましょう。

2. 生活や収入の変化に対応しづらいため

高額な住宅ローンを設定してしまうと、生活や収入の変化に対応できないケースがあります。住宅ローンは月々の返済額が決まっており、生活や収入が変化しても決まった額を返済しなければなりません。返済できない状況が続くと、購入した住宅が差し押さえられてしまう可能性もあります。

生活や収入の変化の例として、次のようなケースが考えられます。

病気やケガ
転職
リストラ
子どもの進学・独立
子どもの結婚・出産

住宅ローンは、一般的に20年以上の長い期間で返済を行います。その間に、ライフスタイルに何かしら変化があっても不思議ではありません。

一度決めてしまった住宅ローンの返済額は、なかなか変えられないため、返済額を決める際には、将来的な生活や収入の変化も考慮しましょう。

3. 金利変動の影響を受けやすいため

住宅ローンでは、金利の変動によって返済額が増減する「金利変動リスク」があります。

住宅ローンの金利は、「変動金利」と「固定金利」から選択でき、変動金利は日本の政策によって金利が決定されるため、返済額が変動するのが特徴です。一方で、固定金利の場合は住宅ローンの返済額が固定されるため、金利の変動リスクはありません。

日本では、固定金利よりも変動金利のほうが金利が低く、変動金利を選択する人が多いのが現状です(「令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」P14 |国土交通省)。ただし、今後も固定金利よりも変動金利のほうが低いという保証はなく、逆転する可能性は否定できません。

変動金利が上昇した場合は、住宅ローンの返済額も上昇し、月々の負担も増えてしまいます。月々10万円の返済が厳しいと感じる人にとっては、生活に大きな影響があるでしょう。

「住宅ローンは金利変動の影響を受けやすい」と覚えておくことが大切です。

4. 高齢になると完済するのが難しくなるため

住宅ローンを組む際には、完済するまでの年齢に注意が必要です。例えば、返済期間35年、月々10万円で住宅ローンを組む場合、41歳で借入をすると、75歳まで返済を続けなければなりません。老後も月々10万円の返済に追われることになるため、年金だけでは厳しくなるでしょう。

住宅ローンは繰り上げ返済を利用して、前倒しで完済することも可能です。しかし、老後の生活資金も確保する必要があるため、資金繰りや資産運用には工夫が必要です。

5. 災害による影響が大きいため

住宅ローンを組むうえでは、毎年、相次いで発生している災害についても考えなければなりません。地球温暖化による異常気象の影響もあり、日本では大規模な災害が発生しています。

購入した住宅が災害により損害を受けたとしても、基本的に住宅ローンが免除されることはありません。火災保険や地震保険で保険金がおりる場合もありますが、被災した状態で今後の生活も考えながら月々10万円という金額を支払うのは、精神的負担も大きいかもしれません。

住宅を建てる際には、ハザードマップなどで災害の被害が少なくなるような場所を選定することも大切です。

住宅ローンの負担を和らげる方法

住宅ローンの負担を和らげるには、次のようなポイントを意識しましょう。

1. 収入に見合った返済額を設定する
2. 目的に合った返済方法を選ぶ
3. 返済試算を冷静に見極める
4. 事前にライフプランを設計しておく
5. 住宅ローンの期間を延長する

1. 手取り年収から収入に見合った返済額を設定する

住宅ローンの返済額は、収入から逆算して考えることが大切です。それにより、返済額が収入に見合った金額になるため、無理のない返済計画を立てられます。

一般的に、住宅ローンの月々の返済額は「手取り収入の25%以内」が理想といわれています。手取り収入ではなく、税金などが引かれる前の額面収入で計算してしまうと赤字になりかねないため、注意が必要です。

例えば、年間の額面収入を500万円、手取り収入を400万円とした場合、それぞれの収入をベースとした月々の返済額は次のようになります。

▼額面収入500万円をベースとした場合     
500万円 × 25% ÷ 12ヶ月 = 月10.4万円  

▼手取り収入400万円をベースとした場合     
400万円 × 25% ÷ 12ヶ月 = 月8.3万円

このように、額面収入をベースに計算すると、手取り収入をベースとした場合に比べて月2万円ほど返済額が多くなります。額面収入をベースにした金額にしてしまうと、実際の手取り収入では返済の負担が大きくなってしまいます。

2.目的に合った返済方法を選ぶ

住宅ローンの返済方法には、「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があります。

・元利均等返済
月々の返済額は一定で、元金と利息の割合が変化していく返済方法です。返済計画が立てやすく、キャッシュフローを安定させたい人に向いています。  

・元金均等返済
元金は毎月同じで、それに応じた利息を上乗せして支払う返済方法です。ローンを開始した当初は利息が大きいため返済額も大きくなりますが、元利均等返済よりも返済期間が短くなるため、総支払額は最小限に抑えられます。

返済方法によって総返済額が異なるため、ご自身のライフスタイルや現在の状況などにあった返済方法を選ぶことが大切です。必要に応じて、返済方法の見直しも行いましょう。

3. 返済試算を冷静に見極める

返済試算とは、住宅の購入に必要な金額が算出されたシミュレーションのことです。返済試算によって、住宅の購入者は返済計画をイメージできます。

住宅を購入する際、不動産会社の担当者から返済試算を提示されたら、試算に含まれている項目に漏れがないことを確認しましょう。

不動産会社の担当者によっては、返済額を低く見せようと、返済試算から住宅ローン以外の頭金やランニングコストを除外している場合があります。返済試算と実際の返済額が大きく異なる場合もあるので注意が必要です。

返済試算は、提示されたものを鵜呑みにせず、冷静に見極めるようにしましょう。

4. 事前にライフプランを設計しておく

住宅ローンの返済額を考える前に、ご自身のライフプランを設計しておくことも有効な手段です。将来設計がはっきりしないまま住宅ローンの返済額を決めてしまうと、住宅ローンが大きな負担になり、返済が難しくなることがあります。

ライフプランは、ご自身だけでなく、ご家族のライフスタイル・ライフステージを踏まえて設計するのがポイントです。将来、どのタイミングでお金が必要になるかを把握し、返済額を検討しましょう。

共働き夫婦の場合は、パートナーがケガや病気で働けなくなった場合や、仕事を失ったときのことも想定しておきましょう。

5. 住宅ローンの期間を延長する

住宅ローンの返済額の負担が大きい場合は、期間を延長して月々の返済額を減らすことも検討しましょう。

返済期間の延長は、借入を行っている金融機関などに相談できますが、延長が認められるとは限りません。一時的な収入減少があれば、すぐに相談するようにしましょう。

また、延長を検討する際は、延長した分だけ利息も増えてしまうため、総支払額が増えてしまう点には注意が必要です。

月々10万円の住宅ローンで購入できる物件の総額目安

返済額が月々10万円の場合、借入できる金額は約2,100〜4,000万円です。次の表に、月々10万円で返済する場合の返済期間と、金利に対応する借入金額をまとめました。

【返済額を月々10万円にした場合の借入可能額】

 金利
変動金利固定金利
0.35%0.375%0.4%1.0%1.25%1.5%
返済期間20年2,317万円2,320万円2,306万円2,174万円2,122万円2,072万円
25年2,872万円2,876万円2,854万円2,653万円2,570万円2,500万円
30年3,416万円3,423万円3,391万円3,109万円3,000万円2,897万円
35年3,952万円3,961万円3,918万円3,540万円3,400万円3,542万円

※住宅金融支援機構「住宅ローンシミュレーション」をもとに作成

変動金利を選択した場合、返済総額はその時々の金利によって異なります。表の数値はあくまでも参考として見ておきましょう。

月々10万円の住宅ローンを組むために必要な手取りや年収。共働きでもきつい?

最後に、月々10万円の住宅ローンを組むために必要な年収について、3パターンのシミュレーション結果を紹介します。前提条件は次の通りです。

▼住宅ローンを組むために必要な年収を計算するための前提条件  
手取り年収は「額面年収の75〜85%」が基準です。今回は75%で計算します。
年収に対する返済額は、「手取り年収の25%」が理想の金額といわれており、今回の計算では25%になるように計算します。

年収300万円のケース

年収300万円のケースでは、月々の返済額が46,875円になります。

▼年収300万円の場合の住宅ローン返済額  
300万円 × 75% = 225万円(手取り収入)  225万円 × 25% ÷ 12ヶ月 = 月46,875円

月々10万円という返済額の基準に対して、半額以下の結果となりました。年収300万円で月々10万円の返済額は、かなり負担が大きいことがわかるでしょう。

年収500万円のケース

年収500万円のケースでは、月々の返済額が78,125円になります。

▼年収500万円の場合の住宅ローン返済額  
500万円 × 75% = 375万円(手取り収入)  375万円 × 25% ÷ 12ヶ月 = 月78,125円

月々10万円の返済額に近づいたものの、2万円近く足りていません。日本における令和3年の平均年収は約443万円なので、年収500万円は平均年収よりも高い水準です(令和3年分 民間給与実態統計調査|国税庁)。しかし、住宅ローンの返済額を月々10万円に設定するには余裕がない年収ともいえます。

年収700万円のケース

年収700万円のケースでは、月々の返済額が109,375円になります。

▼年収700万円の場合の住宅ローン返済額  
700万円 × 75% = 525万円(手取り収入)  525万円 × 25% ÷ 12ヶ月 = 月109,375円

年収700万円で、ようやく月々10万円の返済が無理なく行えることがわかります。ただし、現在の出費の状況や、将来的なライフスタイル・ライフステージによって必要なお金は大きく異なります。返済額は、年収以外の要素も考慮したうえで慎重に検討しましょう。

住宅ローン月々10万円で生活が「きつい」とならないために

住宅ローンの返済額を月々10万円とした場合、生活がきつくならないようにするには、年収700万円がひとつの目安になります。

しかし、現在の出費の状況や、将来的なライフスタイル・ライフステージの変化によって必要なお金は変わってきます。また、住宅ローンを組む前に自己資金を蓄えていれば、借入金額や期間、金利なども大きく異なるでしょう。

住宅ローンを考えるうえで最も大切なのは、ご自身やご家族のライフプランと向き合うことです。無理なく夢のマイホームを手に入れるためにも、返済計画をしっかりと立てましょう。

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