外壁におすすめの素材は、何を重視するのかで大きく異なります。外壁材の種類や特徴を理解しておくことで、目的に合った外壁材を選べるようになります。
この記事では、外壁のリフォームにおすすめの素材を目的別に詳しく解説します。
自宅に合う外壁を選ぶ際の注意点も解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
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【新築・リフォーム】外壁の素材は目的別に選ぶのがおすすめ
外壁材には、窯業系サイディングや金属系サイディング、モルタルなど、さまざまな種類があります。
サイディングとは、外壁に使用する仕上げ用の板材のことです。
かつては、砂・セメント・水を混ぜて作ったモルタルが、外壁の仕上げ材として一般的に使用されていました。しかし、モルタルはひび割れしやすいという大きな弱点があり、メンテナンスが欠かせないのが難点です。
サイディングは外壁に張るだけで仕上がるため、施工の手間や費用が抑えられるうえに耐久性も高く、現在では最もよく使われている外壁材になっています。
サイディングは素材によって、窯業系・金属系・木質系・樹脂系などに分類されます。
外壁材によって特徴や機能性、見た目の印象が大きく異なるため、目的に応じて外壁材を選ぶことが重要です。
デザイン性・耐久性・メンテナンス性・コストパフォーマンスなどのニーズをすべて満たした外壁材は存在しません。そのため、それぞれのメリット・デメリットを理解して、自分の家に合うものを選ぶことが大切です。
次章から、目的別におすすめの外壁材を紹介します。
【目的別】おすすめの外壁素材7選
外壁材には、次のようにさまざまな種類があります。
- 窯業系サイディング
- 金属系サイディング
- 樹脂系サイディング
- 木質系サイディング
- モルタル
- ALCパネル
- タイル
ここでは、それぞれの外壁材の特徴を詳しく解説します。外壁リフォームで後悔しないためには、事前に外壁で重視するポイントを決めておくと良いでしょう。
1. 最も人気の高い外壁材を使用したい:窯業系サイディング
窯業系サイディングのメリット | 窯業系サイディングのデメリット |
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色やデザインのバリエーションが多い コストパフォーマンスが高い 耐火性が高い 短い工期で済む | 塗装などのメンテナンスが必要 |
人気の高い外壁材をリフォームに使用したい場合には、「窯業系サイディング」がおすすめです。
窯業系サイディングは、セメントと繊維を混ぜて板状に加工した外壁材です。釜の中で高熱処理をして製造されることから、「窯業系サイディング」と呼ばれています。
日本サッシ協会の調査によると、窯業系サイディングは日本国内の新築住宅において最も多く使われている外壁材です。戸建て住宅の外壁材素材別の人気ランキングでは、窯業系サイディングが76.8%と圧倒的なシェアを占めています。
バリエーションが豊富で価格が手ごろといったメリットが、根強い人気につながっているのです。
窯業系サイディングのデメリットは、定期的に外壁の塗装やコーキングの補修などのメンテナンスが必要なことです。
コーキングとは、外壁材と外壁材の継ぎ目を埋めるゴム状の充填材のことで、外壁内部に雨水の浸入を防ぐ役割があります。しかし、紫外線などの影響で劣化しやすいことがコーキングのデメリットです。
商品によっては高耐久の塗料が塗布されているものや、コーキングが不要なものもあります。このような窯業系サイディングを選べば耐久性を高められ、メンテナンスの手間が少なくなるでしょう。
2. 高級感のある外壁材を使用したい:金属系サイディング
外壁リフォームで高級感のある外観にしたい人には、「金属系サイディング」がおすすめです。
金属系サイディングは、金属板を成形・加工して断熱材を組み合わせた外壁材です。表面の金属に使われる種類には、次のようなものがあります。
- ガルバリウム鋼板
- 溶融亜鉛メッキ鋼板
- アルミニウム合金
- ステンレス鋼板
金属の種類によっても耐久性やコストなどが異なります。
金属系サイディングのメリット | 金属系サイディングのデメリット |
---|---|
金属独特の質感がある 断熱性が高い 防音性が高い 耐久性が高い 軽量で建物への負担が少ない | キズがつきやすい サビが発生しやすい 酸性雨や塩害への耐性が低い |
金属系サイディングは、金属ならではの独特な質感が特徴的で、おしゃれな外観に仕上がるのがメリットです。さらに、高い断熱性・防音性・耐久性があります。
他の外壁材よりも軽量で、建物への負担も軽減できます。ただし、キズやサビが発生しやすいため、海岸沿いなど塩害の被害を受けやすい場所には向きません。
3. メンテナンスの手間を削減したい:樹脂系サイディング
樹脂系サイディングのメリット | 樹脂系サイディングのデメリット |
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継ぎ目コーキングや塗り替えが不要 塩害や凍害に強い 軽量 メンテナンスの手間が少ない | 耐火性が低い カラーバリエーションが少ない 施工できる会社や取り扱っているメーカーが少ない |
メンテナンスの手間を少なくしたい人には、「樹脂系サイディング」がおすすめです。
樹脂系サイディングは塩化ビニル樹脂が原料の外壁材で、特に北米で人気があります。サビや腐食の不安が少ないため、凍害や塩害に強いのが特徴です。
樹脂系サイディングは、サイディングの最大のデメリットともいえる「継ぎ目コーキング」が不要なのが大きな特徴です。
コーキングは劣化しやすく、定期的にメンテナンスが必要です。しかし、樹脂系サイディングは外壁材同士を重ね合わせる工法で施工するため、コーキング自体を行いません。
樹脂系サイディングのデメリットは、耐火性が低いことです。ほかにも、日本の外壁にはあまり使われておらず、施工できる会社やバリエーションが少ないと感じる可能性があります。
4. 温かみのあるデザインに仕上げたい:木質系サイディング
木質系サイディングのメリット | 木質系サイディングのデメリット |
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デザイン性が高い 断熱性が高い | 耐水性が低い カビが発生しやすい 費用が高い |
外観をログハウスのような温かみのあるデザインに仕上げたい人には、「木質系サイディング」がおすすめです。
木質系サイディングは、天然の木材に塗装をした外壁材です。
自然由来の質感や温かみがあり、独特で味わいのある見た目に特徴があります。また、木材は年数が経つと色合いが変わっていくため、変化を楽しめるのも魅力のひとつです。
高い断熱性があり、木目による唯一無二のデザインに仕上がりますが、耐水性が低いためカビが発生しやすく、費用が比較的高いのが難点です。
5. デザインの柔軟性を重視したい:モルタル
モルタルのメリット | モルタルのデメリット |
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デザイン性が高い 耐火性が高い 耐久性が高い 継ぎ目がない | ひび割れが発生しやすい 汚れが目立ちやすい 防水性が低い 仕上がりが職人の腕に左右されやすい |
外壁リフォームでデザインの自由度が高く、こだわった外壁にしたい人には、「モルタル」がおすすめです。
モルタルは、砂・セメント・水を混ぜて作られた材料のことです。継ぎ目がなく、どのような形状の外壁にも対応できる高い柔軟性が特徴です。
モルタルは、仕上げの工法によって多彩な表情を演出できます。耐久性や耐火性に優れているのもモルタルの強みです。一方で、防水性が低く、ひび割れや汚れが目立ちやすいデメリットがあります。
また、モルタルは職人が手作業で施工するため、良くも悪くも職人の腕が仕上がりに大きく影響するでしょう。
6. 高い機能性を重視したい:ALCパネル
ALCパネルのメリット | ALCパネルのデメリット |
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耐火性が高い 防音性が高い 耐久性が高い 断熱性が高い 軽量で建物への負担が少ない | 継ぎ目が多い 費用が高い |
高い機能性を重視したい人には、「ALCパネル」がおすすめです。
ALCパネルは、軽量気泡コンクリートで作られた外壁材です。軽量なので建物への負担を軽減できます。
耐火性・防火性・防音性など、あらゆる性能が優れており、特に耐久性は突出しています。耐用年数が60年、メンテナンス周期が約10〜15年と、他の素材と比べても長持ちします。
ただし、継ぎ目が多いため雨漏りなどのリスクがあることや、費用が高いことがデメリットです。
7. ALCパネルよりも価格を抑え高い耐久性を実現したい:タイル
タイルのメリット | タイルのデメリット |
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耐久性が高い キズや汚れが付着しにくい デザインに重厚感がある | 費用が高い |
ALCパネルより価格を抑えながらも、高い耐久性を求める人には「タイル」がおすすめです。
タイルは、粘土などの原料を高温で焼き固めた外壁材です。立体感のあるデザインによって、高級感や重厚感のある外観に仕上がります。
タイルは耐久性に優れており、正しく施工されれば20年以上使用できます。キズや汚れがつきにくい強度の高さもタイルの特徴です。
タイルは他の外壁材よりも費用が高めですが、ALCパネルよりも1平方メートルあたりの価格相場は抑えられるでしょう。
自宅に合う外壁を選ぶ際の注意点
ここでは、自宅に合う外壁を選ぶ際の注意点を解説します。素材ごとに外壁材の特徴を理解したうえで、優先順位を付けて選ぶのがポイントです。
価格・デザイン・機能性のバランスを考慮する
外壁材は、価格・デザイン・機能性などの特徴が素材によって異なるため、優先順位を決めておきましょう。
- なるべく費用を抑えたい場合は価格を重視
- イメージする色や柄などがすでに決まっている場合はデザインを重視
- 防水性や断熱性など性能にこだわる場合は機能性を重視
家族でよく話し合い、納得したうえで決めることが大切です。
住宅全体のカラーバランスに配慮する
外壁の色は家全体の印象を大きく左右します。外観のバランスを整えるには、外壁以外にも屋根・サッシ・玄関ドアなど、ほかの部分との色の調和を意識して決めることが大切です。
- 家族で話し合って外観のイメージを具体的に決める
- インターネットの施工事例などを検索してイメージと近いものを探してみる
- 近隣住宅の外壁の色を参考にしてみる
- 施工を依頼する会社に相談してみる
全体のカラーバランスに配慮して外壁の色を決めましょう。
事前に保証内容を確認する
外壁リフォーム前に、施工会社にリフォームの保証内容を確認しておきましょう。
外壁リフォーム後にしばらくしてから見ると、施工不良などでひび割れしていたというケースはよくあります。外壁のひび割れを放置すると、外壁の劣化が早まり、雨漏りなど被害が拡大する原因になります。
このような事態を避けるためには、リフォーム後にどの部分でどのような症状が発生していると保証対象になるのか、具体的に保証内容を確認しておくことが重要です。
まとめ:自宅に合う最適な外壁材を見つけよう
目的別におすすめの外壁素材7選と、自宅に合う外壁を選ぶ際の注意点を解説しました。
外壁材は、住宅全体の印象を大きく左右するだけでなく、建物を保護する役割があるため、快適な暮らしをするうえで重要です。外壁材を検討する際は、価格やデザインなど、「何を重視するのか」を明確にしておくと選びやすくなります。
外壁材の特徴や選ぶ際の注意点を理解して、目的に合った外壁材を見つけましょう。